町唯一の閉店したスーパーを“交流の場”へ。愛のまち合同会社が築く、新しいスーパーのかたち

琵琶湖の東側、雄大な鈴鹿山脈の麓に広がる田園風景。滋賀県東近江市愛東地区では、町唯一のスーパーが閉店を余儀なくされ、地域内で不安の声が高まっていました。この危機感から立ち上がった愛のまち合同会社は、「地域住民による、地域住民のための、地域住民のお店」としてスーパーを再建することに。単に買い物をするだけでなく、“就業の場”や“憩いの場”としての役割も担い、ビジネス面の課題にも果敢にチャレンジしています。休眠預金活用事業(コロナ枠)の助成を受け、21年8月にスーパーを再開してから約1年半。これまでの取り組みから現在の様子について、愛のまち合同会社の業務執行役員を務める野村正次さんにお伺いしました。[コロナ枠の成果を探るNo.2]です。

町唯一のスーパーが閉店。コロナ禍で奪われた交流の場

町唯一のスーパーの再建に向けて設立された愛のまち合同会社のメンバーは、10年前に愛東地区で誕生した「あいとうふくしモール」の運営者でもあります。さまざまな機能を有する事業所が、ショッピングモールのように軒を並べ、地域の広範なケアのニーズに対応していくーーそんな思いから名付けられた施設でした。

あいとうふくしモール全景

「あいとうふくしモールには、私が経営する地元の野菜にこだわったレストランを始め、高齢者の介護支援をする事業所、障がい者の就労を支援する共同作業所が入っています。地域には公的な制度だけでは解決しえない暮らしの困りごとが少なくありません。制度の隙間を埋め、誰もが安心できる地域の拠りどころを作りたい。そのために各事業所が自らの特技や専門性を発揮し、助け合いながら安心のまちづくりに励んできました」

お話を伺った、野村さん(愛のまち合同会社 業務執行役員)

あいとうモールには、日々、地域の困りごとの声が集まります。
「愛東地区唯一のスーパーが閉店するらしい」。そんな噂が野村さんの耳に入ったのは、2019年の春でした。

「スーパーの経営するご夫婦がご高齢だったのと、設備の老朽化や消費税率の変更への対応から続けていくのが難しいと。閉店すれば近所での生活必需品の調達が難しくなるだけでなく、そこで生まれていた地域内の交流がなくなることへの不安の声が大きかったのです。地域の高齢化率も33%と深刻で、車を運転できない人にとっては隣町のスーパーはおろか、地域内のスーパーに通うのもひと苦労です。その上、コロナ禍で地域内の交流は激減。これを機に改めて町の将来を考え、総合的に地域の課題に向き合う必要性を強く感じました」

愛東地区の人口は485人、世帯数は1,650世帯(2023年5月1日時点) 。野村さんいわく、「2005年の市町村合併後、人口は約2割も減少した」そうです。

閉店した店舗内

危機感を覚えたあいとうふくしモール内の3事業所代表が発起人となり周囲に協力を呼びかけたところ、愛東地区まちづくり協議会や自治会の関係者、商工業者らが集合。スーパーが閉店する1ヶ月前から議論を始め、地域の課題を整理し始めました。

「早急に取り組むべきは、やはり暮らしを支えるスーパーを再建し、住民の安否確認も含めたコミュニケーションの場を取り戻すこと。ただ、単に買い物をする場所ではなく、地域内の雇用や交流を促進し、防災の拠点にもなるスーパーにしようと決まりました。」
老朽化した部分のリフォーム、トイレや交流スペースの新設……。スーパーの再建にはまとまった資金が必要だったため、まずは地域内で寄付を募ることに。目標額の300万円に対して、集まった寄付は830万円にもなりました。

寄付金募集のチラシ

地域住民からの大きな期待に必ずや応えたい。寄付以外の資金調達の道を模索する中、地元の公益財団法人 東近江市三方よし基金が休眠預金活用事業の2020年度新型コロナウイルス対応緊急支援助成の公募が始めたと知り、申請したのでした。

スーパー再建後、少しずつ戻ってきた愛東地域の「日常」

休眠預金活用事業として採択されたのち、野村さんらは着々と準備を進め、当初の予定通り、2021年8月に新しいスーパー「i・mart(アイマート)」をオープンします。

中には買い物ができるスペースのほか、テーブルやカウンター席のある交流スペース、トイレを新設。交流スペースではコーヒーやお茶が飲めるほか、定期的に講座や作品展などのイベントが催され、参加者が帰りに買い物をしていく様子も見られます。

加えて、移動販売用の車や宅配用の電動バイクも購入し、地域に22ある自治会すべてに週1回は必ず訪問。特に山間部の地域は、移動販売に行くたびに利用者が増えてきていると言います。

「スーパーには、なるべく地域内で作られたものを置くように意識しています。少しでも地域内でものやお金、人が循環する仕組みが作れたらいいなと。あいとうふくしモールでは、社会参加が難しい若者の就労を支援するため、若者たちと一緒に農産物を育てたり、梅干しや味噌などを手作りしてたり、それらを使って『あいとうむすび』というおむすびを作っています。地元の先人から知恵や技術を継承する機会にもなってますし、アイマートに出荷し商品を陳列する中でお客さんとも触れ合い、自分たちの作ったものが売れる喜びも実感しているようです」

住民の作品が飾られています(上左) 移動販売の様子(上右) 店頭で陳列されるあいとうむすび(下)

嬉しい変化はそれだけではありません。スーパーのオープン日に野村さんはある光景を目にします。家族に連れてきてもらった高齢のおばあさん二人が偶然にも再会した様子で、「久しぶりに会えたね」と嬉しそうに会話をしていたのです。

「愛東地区ではしばらく見られなかった光景を目の当たりにして、胸がじんわりと熱くなりました。ここまで頑張ってきて本当によかったなと。また、小学生や中学生が放課後に来て交流会スペースで話したり、ゲームしたり、再建前に比べて家族づれも増えました。前の経営者が『客層が変わったね』と言うくらい、幅広い世代が利用しています」

コロナ禍で失われていた愛東地区の日常が、少しずつ戻ってきている。再建前から思い描いていた姿に近づきつつあるi・martを前に、野村さんは確かな手ごたえを感じています。

身近な応援者の心強さ。再建後の期待に応え続けるために

「まちづくりに関わる事業に携わって長いですが、今回のような事業を支援してくれる助成金はあまり多くありません。その点、今回の助成事業は支援対象の幅が広く、使用用途の制限も固くは決められていなかったのがありがたかったです。何にいくら使ったかということだけでなく成果を重視し、また、それを支援してくれる資金分配団体が身近にいるのも心強かったです」

新型コロナウイルス対応緊急支援助成について、野村さんはこう評価します。  

「いくら地域のためとはいえ、民間会社がスーパーを作る事業に助成していただくのはなかなか難しいと思います。それが実現したのは、創業当初より東近江市の活性化を目指して活動しているコミュニティ財団である東近江三方よし基金さんが、私たちのコミュニティマートをこの地域に必要な事業だと評価してくださったからです。事業期間中はもちろん、期間が終了したあとも定期的にアドバイスをくださって。おかげさまでスムーズに事業に取り組むことができました」

スーパーの再建から約1年半。最近は、地域のさまざまな団体がi・martを盛り上げるために力を貸してくれています。秋には地域の支援団体が焼き芋を販売したり、年末には自治会のグループが年越しそばを振る舞い、正月には餅つき大会が開催されました。

餅つき大会

活気づいてきた反面、課題もまだまだあります。

「開店直後は多くのお客さんに来ていただきましたが、『商品の充実さに欠ける』『前のスーパーとは違う』『接客が悪い』などのご指摘を受け、一度は客足が遠のいたこともありました。コミュニティマートとはいえ、やはり商売は商売です。地域の人たちの支援や期待に甘えるのではなく、商売として成り立つための訓練は必要だなと感じています」

一ビジネスとしても成長するため、2022年10月からは年中無休だったのを第1日曜日のみ休業に変更。職員研修の機会に充てています。

「年商1億円を目指して1日30万円の目標を設定していますが、移動販売も含めて現在は25万円。あと5万円をどうアップするかが課題です。その一歩を築くために、1番の売れ筋である手作りの惣菜や弁当の売り上げ強化を掲げています。売上も含め、スーパーの目標地点にたどり着くために、誰が何を担当すべきかを見立てて実行に移しています」


意識は行動に表れ、行動は結果に結びつく。それを証明するかのごとく、職員研修を始めてからは、売上も伸びてきたと言います。

当然、求めるのは売上ばかりではありません。今後、i・martをどんなスーパーにしていきたいか? 野村さんは、最後にこんな言葉を残してくれました。

「正直、お客さんにとってはスーパーとして常に一番手である必要はないと思っているんです。普段は隣町の大型スーパーを利用する人にとっては、三番手、四番手の存在になってもいい。ただ、『ちょっと日用品が切れてたから』とか、小さなことでも困ったときにときに、地域の誰もがいつでも利用できる、そんな安心な場所でありたいなと思っています」

【事業基礎情報】

実行団体
愛のまち合同会社
事業名

店舗再生による持続可能な地域課題の解決

活動対象地域
滋賀県東近江市
資金分配団体
公益財団法人 東近江三方よし基金

採択助成事業

2020年度新型コロナウイルス対応支援助成

2023年度資金分配団体の公募〈通常枠・第1回〉説明会よりプログラムオフィサーによるトークセッションをご紹介します。

今回の活動スナップは、JANPIA主催「休眠預金活用事業・調査研究シンポジウム“罪を犯した人の立ち直りを地域で支えるために~地域の生態系の視点から~”」の様子をお届けします。

活動概要

2023年3月23日(木)、JANPIAと更生保護法人 日本更生保護協会の共催により、「休眠預金活用事業・調査研究シンポジウム“罪を犯した人の立ち直りを地域で支えるために~地域の生態系の視点から~”」を開催しました。

本シンポジウムは、「安全・安心な地域社会づくり支援事業」(2019年度通常枠 資金分配団体:日本更生保護協会)について、JANPIAが委託した調査研究チーム(代表:津富 宏 [静岡県立大学])が、3つの実行団体を対象に行った調査・研究の成果を報告し、その成果を地域の再犯防止の取組みに生かすことを目的に行われました。

当日は、再犯防止推進計画を推進している全国各地の自治体関係者や保護司の皆さまをはじめ、法務省や地域の立ち直り支援に関心のある方々合計173名(会場参加25名)のお申し込みを頂き開催し、活発な意見交換が行われました。ご参加・ご視聴いただいた皆さま、ありがとうございました。

活動スナップ

【第一部】

開会の挨拶・事務局説明

事務局説明 根尾 智子 (JANPIA プログラム・オフィサー)[左]

主催者挨拶 岡田 太造 (JANPIA 専務理事)[右]

 動画〈YouTube〉|開会挨拶 [外部リンク]

事業紹介

1. 資金分配団体 :「安全・安心な地域社会づくり支援事業」  更生保護法人 日本更生保護協会 
  藤井  郁子氏  事業担当プログラム・オフィサー [左上]

2. 実行団体1 :「息の長い支援基盤整備事業」  更生保護法人 滋賀県更生保護事業協会
  新庄  博志氏  事務局長 [右上]

3. 実行団体2 :「犯罪を犯した依存症者の支援拠点づくり」  特定非営利活動法人 ジャパンマック
  末永  直美氏  エール施設長 [左下]

4. 実行団体3: 「パープルエイド・ブルークロス運動」  特定非営利活動法人TFG
  大西   良氏   一般社団法人 ソーシャルワーク・オフィス福岡 代表理事    
  中山日向子氏  一般社団法人 ソーシャルワーク・オフィス福岡 理事  [右下]

動画〈YouTube〉|事例紹介 [外部リンク]

 資料〈PDF〉|事業紹介  [外部リンク]

調査研究報告

1. 松川 杏寧  防災科学技術研究所
特別研究員 報告 [左上]
2. 竹中 祐⼆  北陸学院大学准教授 報告[右上]3. 中村 秀郷  西南学院大学講師 元保護観察官 報告[左下]4. 津富  宏氏  静岡県立大学教授/NPO法⼈ ⻘少年就労⽀援ネットワーク静岡顧問 報告[右下] 

動画〈YouTube〉|事例紹介 [外部リンク]

資料〈PDF〉|調査研究報告  [外部リンク]

【第二部】

パネル・ディスカッションの様子

[登壇者]

[会場] 

・藤井  郁子  更生保護法人 日本更⽣保護協会 事業担当プログラム・オフィサー [上段、左]
・新庄  博志  更生保護法人 滋賀県更⽣保護事業協会 事務局長 [上段、中央左]
・末永  直美  特定非営利活動法人 ジャパンマック エール施設長 [上段、中央右]
・岡⽥  昌之  特定非営利活動法人 ジャパンマック 総括施設長 [上段、右]

[オンライン]

・大西   良   筑紫女学園大学 准教授/⼀般社団法人 ソーシャルワーク・オフィス福岡 代表理事
 中山日向子  一般社団法人 ソーシャルワーク・オフィス福岡 理事 [下段・右]
・加藤   豊  静岡市 保健福祉長寿局 健康福祉部 福祉総務課 [下段、左]


[司会進行]
 津富  宏  静岡県立大学教授
 

  動画〈YouTube〉|パネル・ディスカッション [外部リンク]

フロア・ディスカッションの様子

フロア・ディスカッションでは、会場・オンライン毎でグループに分かれ、調査報告やパネル・ディスカッションを聞いての感想やご意見、再犯防止を地域で進めていく上での展望や課題等についての意見交換が行われました。今回出されたご意見は、この度の調査研究の最終報告書へ反映される予定です。

[司会進行]
 松川  杏寧氏 防災科学技術研究所
特別研究員

質疑応答

  動画〈YouTube〉|質疑応答 [外部リンク]

閉会のご挨拶

閉会のご挨拶  津富  宏氏(静岡県立大学教授)

動画〈YouTube〉|閉会のご挨拶 [外部リンク]

ご協力いただいたスタッフの皆さん

[配信スタッフ]ZAN FILMSの皆さん 

今回のシンポジウムは、ご登壇頂いた皆さまはもとより、配信スタッフのZAN FILMSの皆さん、会場となった日比谷国際ビル コンファレンス スクエアの皆さんとの連携で実現しました。この場を借りてお礼申し上げます。

2023年3月23日に開催しました、休眠預金活用事業・調査研究シンポジウム「罪を犯した人の立ち直りを地域で支えるために ~地域の生態系の視点から~」の動画をご紹介します。

<プログラム>

【第一部】

<開催挨拶>
 動画▶ https://youtu.be/Mc431Q9RbRY

  • 事務局説明:根尾 智子 JANPIA プログラム・オフィサー
  • 主催者挨拶:岡田 太造 JANPIA 専務理事
  • <事業紹介>
     動画▶ https://youtu.be/D5igPXI44mM

  • 1.資金分配団体 :「安全・安心な地域社会づくり支援事業」 更生保護法人日本更生保護協会
  • 2.実行団体1:「息の長い支援基盤整備事業」 更生保護法人 滋賀県更生保護事業協会
  • 3.実行団体2:「犯罪を犯した依存症者の支援拠点づくり」 特定非営利活動法人ジャパンマック
  • 4.実行団体3:「パープルエイド・ブルークロス運動」 特定非営利活動法人TFG
  • <調査研究報告>
     動画▶ https://youtu.be/3daVAqDZOPs

  • 松川 杏寧氏 防災科学技術研究所 防災科学技術研究所 特別研究員
  • 竹中 祐二氏 北陸学院⼤学准教授
  • 中村 秀郷氏 西南学院⼤学講師 元保護観察官
  • 津富  宏氏 静岡県立大学教授/NPO法⼈⻘少年就労⽀援ネットワーク静岡顧問
  • 【第二部】

    <パネル・ディスカッション>
     動画▶ https://youtu.be/xj6QYu5v0io

    会場:

  • 藤井 郁子氏 更生保護法人 日本更生保護協会 事業担当プログラム・オフィサー
  • 新庄 博志氏 更生保護法人 滋賀県更生保護事業協会 事務局⻑
  • 岡⽥ 昌之氏 特定非営利活動法人 ジャパンマック 総括施設⻑
  • 末永 直美氏 特定非営利活動法人 ジャパンマック エール施設⻑
  • オンライン:

  • 大西  良氏 筑紫女学園大学 准教授/⼀般社団法人 ソーシャルワーク・オフィス福岡 代表理事
  • 加藤  豊氏 静岡市 保健福祉長寿局 健康福祉部 福祉総務課
  • (司会:津富  宏)

    <質疑応答>
     動画▶ https://youtu.be/Le3kxnjAf08

    ※フロアディスカッションの様子は、休眠預金活用事業サイトで当日の写真をご覧いただけます。


    <終了挨拶>
     動画▶ https://youtu.be/-ms5NGbvQec

    津富  宏氏 静岡県⽴⼤学教授/NPO法⼈青少年就労支援ネットワーク静岡顧問

    〈関連記事リンク〉
     JANPIA主催 休眠預金活用事業・調査研究シンポジウムを開催!|JANPIA|活動スナップ | 休眠預金活用事業サイト (kyuminyokin.info)


    今回の活動スナップは、NEC(日本電気株式会社)と日本更生保護協会(19年度通常枠・22年度通常枠 資金分配団体)が行った備蓄米寄贈式の様子をお伝えします。

    活動の概要

    更生保護法人 日本更生保護協会は、資金分配団体として2019年度より「安全・安心な地域社会づくり支援事業」、2022年度は「立ち直りを支える地域支援ネットワーク創出事業」に取り組んでいます。

    JANPIAの仲介を通じて、NECが日本更生保護協会の実行団体に対し、社員の専門スキルを活かしたプロボノ支援(シンポジウムの映像配信など)を提供したことをきっかけに、同協会の活動に参画する中で、人・モノ・資金等が不足している現場の課題を知り、この度の備蓄米寄贈の実現に繋がりました。


    [きっかけとなったプロボノ支援]

    19年度通常枠の実行団体である全国再非行防止ネットワーク協議会が中心となり設立した「日本自立準備ホーム協議会」の設立記念シンポジウム(2022年3月実施)で、NECのプロボノ倶楽部の皆さんにオンライン配信などのご支援を頂きました。

    △「日本自立準備ホーム協議会」設立記念シンポジウム プロボノ支援の様子 (NECプロボノ倶楽部のFacebookより)
    △「日本自立準備ホーム協議会」設立記念シンポジウム プロボノ支援の様子 (NECプロボノ倶楽部のFacebookより)

    活動スナップ

    2023年4月5日(水)、東京の更生保護会館にて備蓄米の寄贈式が行われました。今回寄贈された災害用備蓄米(1150 食)は、日本更生保護協会が全国の保護施設に対し行ったニーズ調査で、希望のあった 6 団体に贈られます。

    寄贈式では、NEC 人事総務統括部 玉川総務部長の山本さんから、寄贈先を代表して日本更生保護協会 常務理事 幸島さんと日本自立準備ホーム協議会 常務理事 稲葉さんが目録を受け取りました。

    △NEC 山本さん(左)から目録を受け取る、稲葉さん(中央)と幸島さん(右)
    △NEC 山本さん(左)から目録を受け取る、稲葉さん(中央)と幸島さん(右)

    出席者のご発言(要旨)は以下のとおりです。

    NECプロボノ倶楽部 代表 川本さん

    「一昨年からプロボノでご支援させていただいた「日本自立準備ホーム協議会」団体立ち上げで、更生保護で活躍される団体や更生保護で活動される保護司やボランティアの活動における課題やご苦労を知り、私たちにも何かご支援できないかと考え、今回の寄贈につながった。いろんな縁が繋がってここにあると思っている。一回限りというよりも、今後も良い関係を続け、地域のため社会のために貢献していきたい。」

    NEC 人事総務統括部 玉川総務部長 山本さん

    「NECの事業所や工場では社員の出社を前提に災害時の非常食を用意しているが、コロナ禍で出社が減っており、備える量が多くなってしまい食品ロスとなる可能性が高くなった。そのような中、今回全国にお米をお配りいただけるということで、こういった機会を大変有難く思っている。引き続き努力し、こういった関係をつくっていきたい。」

    日本更生保護協会 常務理事 幸島さん

    「今般このようなお気遣い以上の心配りを賜ったことを本当にありがたく存じる。こういう素晴らしい機会をいただき、また今後に繋げていくためにはどういう工夫が必要なのか、私をはじめ職員みんなで、あるいは関係団体の皆さんと知恵を出しながら、前に進んでいきたい。」

    日本自立準備ホーム協議会 常務理事 稲葉さん

    「全国の自立準備ホームとどうやって連携していくかというのが、課題となっている。私たちの協議会も、まだまだこれからというところなので、ご支援・連携をさせていただければ本当に有難く、今後ともよろしくお願いしたい。」

    △上段 川本さん(左)、山本さん(右)、下段 稲葉さん(左)、幸島さん(右)
    △上段 川本さん(左)、山本さん(右)、下段 稲葉さん(左)、幸島さん(右)

    寄贈式に同席したJANPIA シニア・プロジェクト・コーディネーターの鈴木からは、「包括的な関係づくり、長く続くような支援関係へと繋がっていくというのは新たな共助の姿ではないかと思う。引続きこのような連携が続き、また広がるよう支援をしていきたい」と期待が述べられました。


    <備蓄米寄贈先>

    日本更生保護協会「安全・安心な地域社会づくり支援事業」(19年度通常枠)の実行団体
    (以下の 団体)他、団体。

    ・更生保護法人 ウィズ広島 
    ・更生保護法人 滋賀県更生保護事業協会      
    ・全国再非行防止ネットワーク協議会(NPO法人 再非行防止サポート愛知)
    ・認定NPO法人 ジャパンマック
    NPO法人 のわみサポートセンター     

    【休眠預金活用事業サイトよりお知らせ】

    今回の寄贈式の様子はNECの公式SNS(Twitter・Facebook)やプロボノ倶楽部Facebookでも情報が掲載されました。
    

    NEC公式Twitter[外部リンク]
    NEC公式Facebook[外部リンク]
    NECプロボノ倶楽部Facebook[外部リンク]

    資金分配団体

    更生保護法人 日本更生保護協会


    採択助成事業

    安全・安心な地域社会づくり支援事業〈2019年通常枠〉 


    立ち直りを支える地域支援ネットワーク創出事業〈2022年通常枠〉

    活動対象地域

    全国

    新潟県 村上市の「NPO法人都岐沙羅パートナーズセンター」は、設立から20年以上、地域の間をつなぐ中間支援組織として、多種多様なまちづくり事業をコーディネートしてきました。地域内の協働を促進する活動の根底にあるのは、次世代の「公」を追い求める姿勢。公のあるべき姿とは何か? よき“潤滑油”であるためには何が大切なのか? 休眠預金活用事業(コロナ枠)として採択されたフードバンク事業の事例をもとに、理事・事務局長の斎藤主税さん、事業コーディネーターの佐藤香さんにお話を伺いました。[コロナ枠の成果を探るNo.1]です。

    「自力ではもう頑張れない……」。急増した食料支援のニーズ

    1999年6月、新潟県の最北端にある村上市で、NPO法人都岐沙羅パートナーズセンター(以下、都岐沙羅パートナーズセンター)の母体は誕生しました。
    行政、市民、NPO、企業の間に立ち、地域のあらゆる活動を支援する——中間支援組織の存在や必要性が、当時は十分に認識されていなかったものの、活動をスタートするや否や、地域から多種多様な要望が寄せられたと言います。

    斎藤主税さん(以下、斎藤)「設立当初は世間の認知も低かった『コミュニティビジネス』の育成から、官民協働の事業のコーディネートをメインに担っていました。今では、住民参加型のまちづくりのコーディネートや観光系の事業など、さまざまな主体・分野・地域の間に立つ“地域密着型の潤滑油”として、地域にまつわる事業を幅広く手がけています

    都岐沙羅パートナーズセンターの活動の様子
    都岐沙羅パートナーズセンターの活動の様子

    休眠預金活用事業に申請するきっかけとなったのは、2020年。新型コロナウイルスによる経済的なダメージが国内で声高に叫ばれ始めたころ、ここ村上市でも「経済的困窮者」が目に見えて増えてきたことが理由でした。

    佐藤香さん(以下、佐藤)「市内の工業団地では失業が相次ぎ、あらゆる方面から『コロナで職を失った』という声が聞こえ始めました。離縁した相手が失業したことで、養育費が途絶えてしまったというシングルペアレントのご家庭もあって。『これまでも苦しい中でどうにか頑張ってきたが、自力ではもう限界』という人が、一気に増えた感覚がありました」

     斎藤さん(左)、佐藤さん(右) 
    斎藤さん(左)、佐藤さん(右) 

    コロナ禍で深刻化した社会問題に立ち向かうため、当初から官民を問わずに「地域ぐるみで何とかしよう」という機運は高まっており、“協働”以前に、各々が独自に動こうとする雰囲気があったと言います。

    例として、民間からは生活困窮者に食料を支援する組織「フードバンクさんぽく」が立ち上がりました。しかし、行政からの支援はなく、地域内での物資調達に苦戦。企業とのタイアップで支援物資を集めている他地域のフードバンク組織から物資を分けてもらうも、その運搬だけで片道3時間かかる状況でした。

    「『フードバンクさんぽく』は、ほぼ一人で運営されていたこともあり、地域内の調達の仕組みはもとより、組織基盤も整っていない状態でした。助成金の申請も検討したそうですが、手続きに労力がかかり、肝心の支援活動に集中できなくなってしまう。そこで、私たちが資金調達から支援に入り、地域内である程度の物資を賄える体制を構築することにしました

    資金の調達先を探していたところ、2020年度新型コロナウイルス対応緊急支援助成(資金分配団体:一般社団法人全国コミュニティ財団協会)の公募を発見。審査を経て採択されたのち、2020年12月から半年間にわたって、フードバンク事業を軸に生活困窮者への支援システムの構築に奔走しました。

    徹底的な情報収集力、緊張感のある関係性が「協働」を後押し

    都岐沙羅パートナーズセンターが注力したのは、地域内の“協働”を促進すること。コロナ禍での強まった地域内の助け合いの風潮と、独自に活動していた支援の点と点を線で結び、「生活困窮者への物資支援」を展開していきました。
    「『フードバンク村上』が発足する前から、村上市では『フードバンクさんぽく』が活動していたんです。それぞれ支援の対象者は異なりますが、困っている人の力になりたい気持ちは同じ。ならば、両者が競合ではなく協働となるよう、双方の話し合いの場を設けて連携を仲立ちしました。物資の寄付集めはもちろん、集まった物資のシェア、訪問先の分担に連名での広報まで協力してできる体制を整えました」

    このような“協働”を推進するコツは何なのでしょうか? 都岐沙羅パートナーズセンターの取り組みから見えてきたのは、徹底的な「情報の収集と共有」です

    例えば、生活困窮者と直に接する⽀援者たちへの聞き取りから「何が、いつ、どれくらい必要なのか?」といった⽀援物資のニーズや具体的な品目、量、提供のタイミングを明確にしたり。野菜などの生鮮食品の提供が可能な事業者の情報(物品、数量、連絡先)をリアルタイムで共有できるWebページを作成したり、必要な情報をかき集め、効率的に共有できるネットワークを整えることで、地域ぐるみでの“協働”を下支えしてきたのです。

    市内のフードバンクや支援団体を紹介するページをお知らせする画像
    市内のフードバンクや支援団体を紹介するページをお知らせする画像

    「マスコミによる報道の追い風もあって、民間企業を含め、地域のあらゆる組織が独自に食料支援を始めました。地域内の支援が拡充するのは喜ばしいですが、誰がどこでいつ支援をしているのか、情報が錯綜していたんです。協働できる部分がないかを見極め、必要に応じて円滑な連携を促すためにも、散らばっている情報を整理して関係者に共有することはかなり意識していました」

    佐藤「事務所にはひっきりなしにお客さんが来て、常にいろんな情報が飛び交います。お茶を飲んでいる何気ない時間に『みんながいる場では言えなかったけど……』と、本音を話してくださることもあるんです。日々のささやかな会話の中にも、重要な情報が隠れていることがあります。なので、情報収集のアンテナは常に張るようにしています」 

    来訪者とお話ししている様子
    来訪者とお話ししている様子

    極めつけは、“中間支援組織”としての適度な距離感。藤さんは各方面に対して「癒着ではなく、緊張感のある協力体制」を心がけていると話します。

    「必要なことは必要だと言いますが、無駄なことは無駄だとはっきり伝えます。行政にしろ、民間の組織にしろ、忖度のない関係性で付き合っているうちに『協働のボーダーライン』が見えてくるんです。これは無理そうだが、ここまでは協働してくれそうだと。べき論で語らずに、現状とそれぞれの組織の思惑まで把握したうえで双方の期待値をすり合わせる。これが協働を後押しする私たちの役割だと考えています」

    村上市で広がり続ける、「公」のあるべき姿

    これほどまでに地域内の協働を後押しする原動力はどこにあるのか? ヒントは、都岐沙羅パートナーズセンターのロゴマークに隠されていました。モチーフは、漢字の「公」。この由来について、団体の公式サイトには以下のように説明されています。

    「都岐沙羅パートナーズセンターが目指している「公」のあるべき姿は、住民・NPO法人・民間企業・行政がそれぞれの資源を出し合い、地域内で共有する「財」をつくり、利用しあうことで、個々が自立している状態です」
    「都岐沙羅パートナーズセンターが目指している「公」のあるべき姿は、住民・NPO法人・民間企業・行政がそれぞれの資源を出し合い、地域内で共有する「財」をつくり、利用しあうことで、個々が自立している状態です」

    次世代の「公」を追い求める中、あくまでも自らは“潤滑油”の役割に徹し、各組織の当事者性と自発的な動きを尊重する。都岐沙羅パートナーズセンターの働きかけにより、村上市では積極的に協働し合う姿が見られるようになってきたと言います。

    佐藤「『学生服をリユースしたい』とは言えても、『食べ物を支援してもらいたい』とは言いづらい。そんな人の話を聞いた学用品支援をしている団体が、当事者とフードドライブの組織をつなげてくださったことがあったんです。支援物資として地域内のお米が不足したときにも、『お米が不足して困っている』という声を聞きつけた地元の農家さんが、フードバンク組織にお米を届けてくださったこともありました」

    お互いに情報を共有し、必要に応じて連携し合う。地域内で協働関係が育まれたことも後押しとなったのか、市内から調達した物資量は半年間で約8,800kgにのぼり、⽀援件数に対し95%以上の物資を市内で賄えるまでになりました。

    フードバンク拠点に集まった物資
    フードバンク拠点に集まった物資

    潤滑油によって、さまざまな支援の歯車が上手くかみ合い、それぞれが自走しながらも、協働することでより大きな支援を可能にするーー中間支援組織が地域にもたらす価値は着実に広がっているように見えます。しかし依然として支援が実現するまでのハードルは高いと、斎藤さんは話します。

    「都岐沙羅パートナーズセンターは民設民営型の組織なので、新しく事業を始めるときは当然『運営資金をどう工面するのか?』を考えるのがセットです。運営費を捻出するための事業も手がけますが、地域に本当に必要な事業であったとしても、必ずしも充分な資金が得られるものばかりではありません。日々支援のアイデアは生まれているので、休眠預金活用事業のような助成金の利用を検討するものの、新潟県を対象とした公募を行う資金分配団体が限られているため、全国を対象とした公募しか道がないことがほとんど。加えて私たちのようなローカルな取り組みは、波及効果の点から、採用されるハードルが高いんです」 また、助成金の中には、申請団体に事業費の2〜5割の自己負担を求めるものも少なくありません。助成金依存を防ぐために必要なシステムであることは理解しつつも、「資金繰りの面で手を上げづらいのが本音」だと、藤さんは吐露します。

    「地域のプレーヤーの方々を結びつけて事業を作り上げていく、私たちのような事業体系では、申請団体に自己負担が求められると、手をあげるだけ損になってしまうんです。その点、今回の新型コロナウイルス対応支援助成は、自己負担が求められないことが助かりました。休眠預金活用事業では資金分配団体が伴走支援をしてくれる仕組みなのですが、私たちの場合は一般社団法人全国コミュニティ財団協会さんが、良き壁打ち相手になってくれて。月1のミーティングで事業の進捗を報告する中で、見直すべき点、より注力すべき点が明確になり、自分たちの行動を振り返る良い機会になりました」
    休眠預金活用事業として一区切りがついたのは、2021年5月。事業期間中は、支援を求める人が増えると同時に、自ら支援の協力を申し出る人も増えたと言います。事業の終了から1年半以上が経った現在、当初はボランティアとして関わっていた人たちが、中心人物として生活困窮者への支援をする姿も見られるほどに。

    都岐沙羅パートナーズセンターが描く「公」は、これからも進化し続けます。

    執筆:なかがわあすか

    【事業基礎情報】

    実行団体
    特定非営利活動法人 都岐沙羅パートナーズセンター
    事業名
    地域自走型の生活困窮者支援システムの形成/資金分配団体
    活動対象地域
    新潟県
    資金分配団体
    一般社団法人 全国コミュニティ財団協会

    採択助成事業

    2020年度新型コロナウイルス対応支援助成

    休眠預金活用事業が取り上げられた論文を紹介する「論文紹介」。今回は「日本労働研究雑誌」に掲載された論文『巨大災害における雇用対策 ──災害社会科学から学ぶ(永松 伸吾)』を紹介します。

    巨大災害における雇用対策 ──災害社会科学から学ぶ

    【著者】
    永松 伸吾
    (関西大学教授/国立研究開発法人防災科学技術研究所主幹研究員)

    【要約】(論文より引用)
    本稿は,災害社会科学における基本的概念の一つである脆弱性とレジリエンスを紹介し,わが国の巨大災害における雇用対策を捉え直すことを目的としている。レジリエンスは,システム外部からのショックを吸収し機能を維持する能力(吸収力),被害が発生してもその状況に適応し,最低限の機能を維持しつつ回復を遂げる能力(適応力),環境の変化に応じてシステムそのものの機能を変化させる能力(変化力)の三段階で構成される。わが国の巨大災害における雇用対策は,雇用調整助成金による雇用維持が主軸である。リーマンショックと東日本大震災では基金による雇用創出も行われてきたが,コロナ禍では実施されず,雇用調整助成金をパートやアルバイト等の非正規雇用に拡張することで雇用不安に対応した。これらは雇用システムの吸収力を高めることを目的とした対策であったが,それは他方で雇用の流動性を阻害するという副作用が指摘された。他方でコロナ禍では民間による雇用創出事業としてキャッシュ・フォー・ワークが実施され,雇用創出にとどまらず就労支援の機能も強化され,雇用システムの適応力や変化力を高めている。こうした経験を踏まえ,公的資金による雇用創出を再評価し,将来の巨大災害に備えるべきである。

     

    【本文中で紹介されている団体】

    団体名一般財団法人 リープ共創基金
    採択情報■2023年度通常枠〈第1回〉
    ▷資金分配団体〈イノベーション企画支援事業〉

    ■2021年度緊急支援枠
    ▷資金分配団体〈新型コロナウイルス対応支援助成・随時募集2次〉【事業完了】

    ■2020年度緊急支援枠
    ▷資金分配団体〈新型コロナウイルス対応緊急支援助成〉【事業完了】

    団体名一般社団法人 サステイナブル・サポート
    採択情報■2021年度緊急支援枠<随時募集6次>
    ▷実行団体
    資金分配団体:認定特定非営利活動法人 育て上げネット

    ■2020年度緊急支援枠
    ▷実行団体
    資金分配団体:一般財団法人 リープ共創基金

    資金分配団体と指定活用団体であるJANPIAが、よりよい休眠預金活用事業を作り上げていくために、共に取り組む「業務改善PT(プロジェクトチーム)」。2022年度の活動を紹介します。

    業務改善PT(プロジェクトチーム)とは?

    2020年末に開催された、2019年度 資金分配団体22団体の代表者とJANPIAの役員との意見交換会で明らかになった「業務改善の必要性」がきっかけとなり、資金分配団体と指定活用団体であるJANPIAが共に業務改善に取り組むプロジェクトチームが発足。2021年度に本格的に「課題の洗い出しと改善の方向性の検討」を開始しました。

    2021年度の取り組みの総括は以下です。具体的な活動については、以下の記事をぜひご覧ください。

    -業務改善PTの経過報告- よりよい休眠預金活用事業を一緒に考え作り上げていくために!

    -業務改善PTの経過報告〈その2〉- よりよい休眠預金活用事業を一緒に考え作り上げていくために!

    2022年度の動き

    2022年度は新たなチーム編成で取り組みを開始

    内閣府の「2022度休眠預金等交付金活用推進基本計画」に、業務改善PTの位置づけについて以下のように記載されるなど、業務改善PTへの期待が高まる中、5月18日には2021年度の総括と2022年度の取り組みの方向性を話し合う「業務改善プロジェクトチーム総括的報告会」を開催。

    2022年度に対応すべき事項について、新たな体制で業務改善の取り組みを加速させていくことし、報告会後、全資金分配団体の皆さまへ新たに検討チームへのご参画を呼び掛けて、メンバーを募り、昨年度の13団体を超える「20資金分配団体 32名」から参加の申し出を受けました。



    〈参加20団体(五十音順)

    公益財団法人お金をまわそう基金/公益財団法人佐賀未来創造基金/一般財団法人社会変革推進財団認定NPO法人ジャパン・プラットフォーム/NPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ特定非営利活動法人全国災害ボランティア支援団体ネットワーク一般社団法人全国フードバンク推進協議会一般財団法人ちくご川コミュニティ財団一般財団法人中部圏地域創造ファンド公益財団法人長野県みらい基金更生保護法人日本更生保護協会公益財団法人パブリックリソース財団公益財団法人東近江三方よし基金NPO法人ひろしまNPOセンター公益財団法人ブルーシー・アンド・グリーンランド財団認定NPO法人北海道NPOファンドNPO法人まちぽっと/公益財団法人ユニバーサル志縁センター一般社団法人ユヌス・ジャパンREADYFOR株式会社

    チームは、2022年度の「重点課題」や「休眠預金等活用制度の5年後の見直し」が行われる予定であることを踏まえ、以下の5つとしました。

    ■システム改善レビューチーム (3団体、3名)
    助成システム再構築の開発フェーズに合わせて操作性他についてレビュー
     ⇒ ユーザ目線でのシステム改良に取り組む
    ■評価検討チーム(11団体、12名)
    現行の評価運営の実務面での報告書式などに関するいわゆる「業務改善」を行う。
    より良い休眠預金活用事業における評価のあり方について考える。
    ■休眠預金等活用制度の見直し関連するチーム[4テーマ]
    5年後の見直しの議論において、現場目線での議論が欠かせないテーマについて、4チームに分かれて取り上げる。
    [制度関連1]資金管理等検討チーム(9団体、10名+オブザーバー1団体・1名)
    自己資金確保のあり方、管理的経費、PO関連経費の水準等​、資金管理等について、よりよい制度検討に向けて議論する。
    [制度関連2]出資・貸付検討チーム(7団体7名+オブザーバー2団体・2名)
    2022年度休眠預金等活用基本計画(内閣府)に示されている通り、本年度において「休眠預金を活用した 貸付けや出資の在り方、手法等について検討を進め、結論を得る。」とされている。
    [制度関連3]緊急助成の在り方検討チーム(4団体、5名+オブザーバー1団体、1名)
    休眠預金活用事業における緊急助成の在り方について議論をし、今後の当該事業領域での事業プログラムのありかたなどを模索。具体的な事業モデルなどの想定を検討する。
    [制度関連4]その他制度関連(POの役割等)検討チーム(9団体、10名+オブザーバー1団体、1名)
    事業規模・POの役割・3層構造 等、現場目線でのこれまでの状況を踏まえての制度全体を俯瞰した議論する。

    各チームの取り組みのご紹介

    リンク先で各チームの動きをご紹介しています。ぜひご覧ください。

    業務改善PT2022|システム改善レビューチーム

    業務改善PT2022|評価検討チーム |

    業務改善PT2022|資金管理等検討チーム

    業務改善PT2022|出資・貸付検討チーム

    業務改善PT2022|緊急助成の在り方検討チーム

    業務改善PT2022|その他制度関連(POの役割等)検討チーム 

    資金分配団体と指定活用団体であるJANPIAが、よりよい休眠預金活用事業を作り上げていくために、共に取り組む「業務改善PT(プロジェクトチーム)」。2022年度業務改善PTの「システム改善レビューチーム」の活動を紹介します。

    2022年度業務改善PT 「システム改善レビューチーム」の紹介

    休眠預金活用事業に採択された団体は、自団体や申請事業に関する情報の登録に加え、事業・資金・評価等の各種計画、活動の管理・報告などに「休眠預金助成システム」と呼ばれるクラウドサービスを利用しています。

    2022年度はこの助成システムの操作性向上等について、2021年度業務改善プロジェクトチームで検討された改善の方向性を踏まえて、改善に取り組み、10月のシステムリリースを目指しました。この計画実施に向けて、実際にユーザーとなる資金分配団体の皆さまにシステムの改善レビューを行っていただくのが、「システム改善レビューチーム」です。本年のメンバーは、3団体3名となりました。

    「業務改善PT2022」全体の活動経過報告はこちら

    活動報告

    2022年7月14日 第1回ミーティング

    アジェンダ

    ●2021年度業務改善PTの振り返り
    助成システムの改善について
    ●今後の動きの確認 など

    [議論概要]



    • 2021年度業務改善プロジェクトチームで検討された改善の方向性を踏まえつつ、2022年度はこの助成システムの操作性向上等について、事務局で改善を検討している。その内容と進捗について、説明を行いました。


      助成システムの検討の背景
      2019年度から助成事業をスタートし、各種事業の事業計画、評価、資金の管理情報等をオンラインで入力いただき事業状況の把握に務めてきた。​
      しかし現行のシステムは、制度関係様式の変更に応じたシステム変更についてタイムリー行うことが困難であったことなど、これまでの運用において資金分配団体・実行団体ユーザから様々なご意見や改善課題について論議を重ねた。


      目的
      ・資金分配団体及び実行団体、JANPIAにおける助成金事業管理業務の効率化​
      ・制度関係様式変更等に迅速に対応可能なシステムの構築及びシステム改修コストの抑制​
      ・助成金システムの運用コスト削減​
      ・助成金システムのセキュリティの確保​
      ・他システム(ホームページ・ワークフローシステム等)との連携の効率化​




    • 改善を行ったシステムについて8月中にトライアル期間を設け、システム改善レビューチームのメンバーが所属する団体の皆さまにご協力をいただき、意見を得て改善に役立てることとしました。

    2022年8月15日~26日  助成システムトライアル

    [実施概要]

    • 8月15日~26日をトライアル期間とし、チームメンバーである3団体と、その実行団体の皆さんにご協力いただき、改善後の助成システムを実際に入力いただくなどの操作性等のレビューをしていただきました。
    • トライアル結果について、9月1日、9月6日にトライアル結果ヒアリングを行いました。いただいた意見には、システム変更に伴う説明会に加えて、リリース後にも操作説明を定期的や要望に応じて行うようなフォローアップに関して提案いただいたことやシステムに入力された情報の活用に関しても事業期間中の資金分配団体でも利用できるようになると伴走支援に活用できるので、システム利用のインセンティブになるなど、たくさんのご意見をただき、できることから随時反映しました。

    説明会の開催

    2022年9月20、21、22日 新助成システム説明会

    • 資金分配団体・実行団体の向けに、2022年10月3日 10時公開予定の新助成システムの説明会を実施し、3日間で約400人の事業担当者等に参加いただきました。
    • 9月までのシステムと10月からのシステムの変更点を中心に説明をさせていただき、実際の画面とデータの登録方法など簡単なデモンストレーションを実施しました。

    資金分配団体と指定活用団体であるJANPIAが、よりよい休眠預金活用事業を作り上げていくために、共に取り組む「業務改善PT(プロジェクトチーム)」。2022年度業務改善PTの「評価検討チーム」の活動を紹介します。

    2022年度業務改善PT 「評価検討チーム」で目指すこと

    休眠預金等活用制度における評価は、活動の成果を検証・可視化し、3つの目的「国民の理解を得る」「事業の資源配分に反映する」「活動の質の向上や発掘、民間資金や人材の獲得に活用する」に活用することを想定しています。

    業務改善PT(評価検討チーム)は、この記事を書いている2023年2月時点では11団体13名の資金分配団体有志メンバーで構成されています。
    2021年度の活動で打ち出した休眠預金等活用事業における評価の「あるべき姿」(*1)に実態が近づくように、JANPIAと資金分配団体が評価関連の業務改善のために課題を定期的に検討する場として以下の活動を進めてきました。

    ①現行の各種様式の検証をもとにした、「休眠預金等活用事業における評価の本質」の検討を進め、休眠預金活用事業における評価の本質一枚紙を作成すること
    ②JANPIAにおける評価関連の検討事項の情報共有、意見交換を行う場として、資金分配団体PO同士のピアラーニング(事例共有会)を実施すること

    *1 2021年当チームの活動で「評価のあるべき姿」とは、「実行団体がやる気になる」「現場の役に立つ」 「事業改善につながる」「想定外のインパクトを可視化できる」「多様性が包含される」こととしました。

    「業務改善PT2022」全体の活動経過報告はこちら

    活動報告

    2022年7月15日 第1回 キックオフミーティング(オンライン開催)

    アジェンダ
    ・開会、開催趣旨説明​
    ・メンバー紹介​
    ・21年度活動の振り返り​
    ・22年度PTの進め方について(意見交換)​

    [議論概要]

    新しいチームメンバーで自己紹介を行った後、事務局からの説明で2021年度の活動について共有・振り返りを行いつつ、2022年度の活動目標、進め方、スケジュールについて意見交換を行いました。

    2022年8月31日 第2回(ハイブリッド開催)

    アジェンダ

    ・活動計画の確認(位置づけ、目的、活動スタイル、スケジュールなど)
    ・活動内容と獲得目標について全体討議、グループ討議
    ・活動のアウトプットと役割分担の確認
    まとめ、今後のステップについて

    [議論概要]
    第1回の議論を踏まえ活動計画、獲得目標についてチームの認識統一を行いました。第2回はコロナ禍で自粛していた対面開催としました。

    直接コミュニケーションのメリットを生かし、獲得目標に関する議論では、「一気通貫で評価の設計を見直す」「評価に関するキャパビル」について2チームに分かれて考えを整理しました。JANPIAのプログラムオフィサーも議論に加わり、評価で大事にするポイントや評価のことを分かり易く伝える人材の育成の重要性など参加者それぞれの視点から活発な議論が展開されました。

    終始賑やか且つ楽しい雰囲気での検討会となりました。

    第2回ミーティングの様子(対面とオンラインのハイブリッド開催)
    第2回ミーティングの様子(対面とオンラインのハイブリッド開催)
    グループ討論の様子(Aグループ・左、Bグループ・右)
    グループ討論の様子(Aグループ・左、Bグループ・右)

    2022年10月26日 第3回

    アジェンダ

    ・JANPIAからの共有(評価の近況報告など)
    ・22年度活動目的及び具体的活動案の検討

    [議論概要]

    2022年8月31日の議論では評価に関する各種様式や資金分配団体のプログラムオフィサーの実行団体に対する伴走の在り方・伴走力の課題に対する対応に力点が置かれました。

    これを受けて、2022年度は①休眠預金活用事業における評価の本質一枚紙の作成②資金分配団体PO同士のピアラーニング(事例共有会)の実施を行うこととしました。

    ピアラーニングについては、評価検討チームからさらに有志を募り5名の幹事で検討チームを結成、ピアラーニングの開催方針を検討し、第5回の検討会(2023年1月19日)までに2回、第6回(2023年3月14日)までに4回開催しそこで得られた知見を一枚紙の作成等にフィードバックすることを確認しました。

    2022年12月14日 第4回

    アジェンダ

    ●JANPIAからの共有(評価の近況報告など)
    報告
    ー「現行の各種様式の検証をもとにした、『休眠預金等活用事業における評価の本質』の検討」に向けてのアンケート結果の共有、「一枚紙」のたたきについて
    資金分配団体PO同士のピアラーニング(事例共有会)の実施報告
    「一枚紙」の作成に向けて

    [議論概要]
    10月(第3回)の開催から2か月弱が経過し、この間JANPIAは休眠預金を活用した事業の5年後見直しなども進めてきました。

    第4回検討会では、このようなJANPIA全体の動きや事業評価に関する取り組みについてメンバーと共有を行った後、11月25日に実施した第1回ピアラーニングの開催報告*と今後の開催予定を確認し、今年度獲得目標の一つである「一枚紙の作成に向けて」議論を進めました。

    一枚紙作成については、ピアラーニングと同様にワーキンググループを作り、メンバーと一緒に課題の洗い出しを進めるだけでなく、資金分配団体としての評価の経験共有に関するアンケート、2023年1月には資金分配団体2団体にご協力をいただき申請から事前評価に至る一連のプロセスに関するヒアリング調査を実施するなど具体的な検討を進めました。

    *当日の様子については後述していますのでそちらをご覧ください。

    2023年1月19日 第5回

    アジェンダ

    ・報告
    総合評価について、JANPIAより報告
    ー「一枚紙」ワーキンググループより報告​
    ーピアラーニング幹事より
    報告​ディスカッション(グループ討議)​~「一枚紙」について
    ・ピアラーニング今後のテーマの相談
    ・来年度に向けた意見交換​

    [議論概要]



    2回目となる対面開催では、前回同様JANPIAのプログラムオフィサーも参加して、第4回(2022年12月14日開催)以来ワーキンググループを中心に検討を進めてきた「評価の本質一枚紙」の素案について、その狙いや位置づけ、盛り込むべき内容についてグループ討議も交えて検討しました。

    ピアラーニングでは、2023年12月21日に実行団体とのコミュニケーションをテーマに実施しましたが、これまでの開催で取得したアンケート結果や意見を共有しました。
    ピアラーニングは、2022年度の活動では4回開催することとしており、残りの2回の開催テーマなどについて意見交換し方向性を固めました。

    第5回ミーティングの様子(対面とオンラインのハイブリッド開催)
    第5回ミーティングの様子(対面とオンラインのハイブリッド開催)
    グループ討論の様子(Aグループ・左、Bグループ・右)
    グループ討論の様子(Aグループ・左、Bグループ・右)

    2023年3月14日 第6回

    アジェンダ

    報告
    ―評価に関する取り組みについて
    一枚紙最終案について(グループ討議)
    ピアラーニングの実施についておよび来年度の方向性について
    一枚紙活用方法について、今年度評価チームの学びの普及(全体討議)
    クロージング

    [議論概要]2022年度の評価検討チームの活動は、評価の本質一枚紙の作成と資金分配団体PO同士のピアラーニング(事例共有会)を実施することを目標に進めてきました。ともにワーキンググループでの検討を経て、評価の本質一枚紙は最終的に四枚紙として整理、ピアラーニングについても第3回までの開催から得られた知見等の共有を行いました。2022年度の活動の最終回にあたっては、これまでの議論を振り返り四枚紙の活用方法とピアラーニングの継続等、今年度評価検討チームの学びの普及について討議し終了しました。

    <成果物>

    評価の本質4枚紙 [PDF(外部リンク)]

    評価に関するピアラーニング

    2022年11月25日 第1回

    「しくじり先生から学ぶ!事業評価で苦労しないコツ~キモは事前評価にあった!?」

    [進  行]READYFOR 株式会社 市川さん

    [発 表 者]更生保護法人 日本更生保護協会 藤井さん、
                 NPO法人 まちぽっと 小林さん

    [参加者数]38名(評価検討チーム、発表者、関係者含む)

    [概  要]
    「しくじり先生から学ぶ!事業評価で苦労しないコツ~キモは事前評価にあった!?」というテーマで、休眠預金等活用制度が開始した初年度である2019年度に採択された資金分配団体に経験をご共有いただき、後輩団体の学びにさせていただく会を開催しました。

    2022年12月21日 第2回

    伝えたい 伝わらない その評価の意義♪ ~実行団体とのコミュニケーション編

    [進  行]READYFOR株式会社 市川さん

    [発 表 者]一般財団法人 ちくご川コミュニティ財団 庄田さん
                  公益財団法人 みらいファンド沖縄 平良さん、嘉数さん

    [参加者数]39名(評価検討チーム、発表者、関係者含む)

    [概  要]
    「伝えたい 伝わらない その評価の意義♪ ~実行団体とのコミュニケーション編」というテーマで、先輩資金分配団体に経験をご共有いただき、後輩団体の学びにさせていただく会を開催しました。


    2023年3月10日 第3回

    評価って、ぶっちゃけどうよ。~酸いも甘いも経験した3人が語る「本質」~

    [進   行]READYFOR株式会社 市川さん

    [発 表 者]公益財団法人長野県みらい基金 高橋さん
           公益財団法人東近江三方よし基金 山口さん
           一般財団法人社会変革推進財団 小笠原さん

    [参加者数]30名(評価検討チーム、発表者、関係者含む)

    [概   要]
    「評価ってぶっちゃけどうよ。」をテーマに、19年度、20年度通常枠採択団体&21年度からスタートした業務改善プロジェクトに当初から参加してくださっている3名から、それぞれの評価に対する考え方や取り組みを共有いただきました。「事前評価のロジックモデルを実行団体と一緒につくることはとても大事で価値がある」、「地域の方とお話しながら成果指標を見つけていくことに注力している」といったお話がありました。

    2023年3月17日 第4回

    みんなどうしてる!?突撃!となりの評価指標~子どもの居場所/子どもシェルター事業を例に~

    [進   行]一般財団法人 ちくご川コミュニティ財団 庄田さん

    [発 表 者]特定非営利活動法人カタリバ 藤原さん
          公益財団法人パブリックリソース財団 田口さん

    [参加者数]38名(評価検討チーム、発表者、関係者含む)

    [概   要]
    「みんなどうしてる!?突撃!となりの評価指標」というテーマで、休眠預金を活用した事業に取り組む資金分配団体に、どんな指標を設定しているのか、その指標の決め方などについて事例を共有していただき、参加者の皆さんと意見交換をしました。