地元の食材を使ったお弁当の宅配で、産後ママやひとりで子育てをがんばっているご家庭にちょっとでも「ほっ」とするひとときを感じてほしいと、【特定非営利活動法人 スペースふう】が休眠預金を活用して取り組んでいる活動『リユースお弁当箱がつなぐ地域デザイン事業』の動画をご紹介します。
今回のJANPIAスナップは、10月6日にJANPIA主催で開催いたしました「ボランティア・プロボノマッチング会 第2回成果報告会」の様子をご紹介します!JANPIAでは、社会課題を解決する団体(NPO等)とCSRや社会貢献、ソーシャルインパクトを目指す企業との連携を推進しております。ボランティア・プロボノによる企業連携の事例をご報告いただきましたので、ぜひご覧ください。”
活動概要
JANPIAでは、休眠預金を活用して社会課題を解決する団体と企業との連携を推進しています。今回の成果報告会では、2023年3月7日に経団連後援のもと開催いたしました企業と団体との第2回マッチング会での連携事例のご紹介と、パネルディスカッションを実施いたしました。
第1部の事例紹介では3つの事例について、支援企業、支援先団体、コーディネーターそれぞれのお立場からボランティア・プロボノマッチングに関するご報告をしていただきました。第2部のパネルディスカッションでは、ご登壇された企業の方々からボランティア・プロボノを企業内で導入するためのポイント等についてお話いただきました。
本開催では、企業54社、団体・個人39名、合計137名の方にお申込みいただきました。
ご参加・ご視聴いただいた皆さま、ありがとうございました。
活動スナップ
開会の挨拶

開会の挨拶・本セミナーの趣旨説明
JANPIAシニア・プロジェクト・コーディネーター
鈴木 均
動画〈YouTube〉|開会の挨拶・本セミナーの趣旨説明[外部リンク]
資料〈PDF〉|開会の挨拶・本セミナーの趣旨説明 [外部リンク]
経団連の挨拶

経団連の挨拶
一般社団法人 日本経済団体連合会 常務理事
長谷川 知子 氏
動画〈YouTube〉|経団連のご挨拶[外部リンク]
事例紹介

事例紹介|モデレーター
株式会社NTTデータグループ サステナビリティ経営推進部
シニア・スペシャリスト
金田 晃一 氏
動画〈YouTube〉|事業紹介|導入(社員プロボノの類型整理)[外部リンク]
資料〈PDF〉|社員プロボノの類型整理 [外部リンク]
1. ブランディング強化に向けた広報戦略・方針の整理

支援企業
富士通株式会社 総務本部 コミュニティ推進室
井上 悠起氏(右上)
資料〈PDF〉|広報支援プロジェクト|富士通株式会社|プロボノ [外部リンク]
コーディネーター
認定特定非営利活動法人全国子ども食堂支援センター・むすびえ 理事
三島 理恵 氏(左下)
動画〈YouTube〉|1. ブランディング強化に向けた広報戦略・方針の整理[外部リンク]
2.組織内にビジョンを浸透させるための方法・ステップ等の提案

動画〈YouTube〉|2.組織内にビジョンを浸透させるための方法・ステップ等の提案[外部リンク]
3.スケジュール管理と情報共有の電子化

コーディネーター
一般財団法人大阪府人権協会
前村 静香氏(右下)
資料〈PDF〉|資金分配団体としてプロボノに携わって [外部リンク]
動画〈YouTube〉|3.スケジュール管理と情報共有の電子化[外部リンク]
パネルディスカッション

「社員がプロボノやボランティアに参加していることは人事評価などに反映されているか。また、反映されている場合どのように評価に反映させているか。」と、会場からご質問をいただきました。
【登壇者】
辻 信行 氏 [PwCあらた パートナー](下段:左から3番目)
呉藤 舞 氏[三井住友フィナンシャルグループ サステナビリティ企画部 社会貢献グループ 部長代理](下段:右から3番目)
池田 俊一 氏[NEC 経営企画部門 コーポレートコミュニケーション部](オンライン参加)
三橋 敏 氏[PwCあらた 企画管理本部 ディレクター](下段:左から2番目)
山﨑 友里加 氏[SMBC日興証券 ホールセール企画部 第一業務課](下段:左から4番目)
藤田 英利 氏[NECソリューションイノベータ デジタルビジネス推進本部 DX推進グループ シニアマネージャ](下段:右から2番目)
【モデレーター】
tab-stops:center 212.6pt>金田 晃一 氏[NTTデータグループ サステナビリティ経営推進部 シニア・スペシャリスト](下段:左から1番目)
tab-stops:center 212.6pt>
【コメンテーター】
嵯峨 生馬 氏[認定特定非営利活動法人 サービスグラント 代表理事](下段:右から1番目)
資料〈PDF〉|サービスグラントのご紹介 [外部リンク]
資料〈PDF〉|継続的にsocial impactを生み出すために [外部リンク]
資料〈PDF〉|SMBCグループプロボノワークプロジェクト [外部リンク]
資料〈PDF〉|NECプロボノイニシアティブのご紹介 [外部リンク]
動画〈YouTube〉|パネルディスカッション プレゼンテーション[外部リンク]
動画〈YouTube〉|パネルディスカッション[外部リンク]
閉会の挨拶

閉会の挨拶
JANPIA 理事長 二宮雅也
動画〈YouTube〉|閉会の挨拶[外部リンク]
当日スナップ写真
登壇者の皆さん

司会者/配信スタッフの皆さん
今回のセミナーは、ご登壇頂いた皆さまはもとより、司会者の南 恭子さん、配信スタッフのZAN FILMSの皆さん、会場となった日比谷国際ビル コンファレンス スクエアの皆さんとの連携で実現しました。この場を借りてお礼申し上げます。

JANPIAは、主に大学生がNPO等で就業体験を行うインターンシップに関する調査を行い、報告書を公開しました。
NPOインターンシップに関する調査報告書
JANPIAは、主に大学生がNPO等で就業体験を行うインターンシップに関する調査を行い、報告書を公開しました。
ここでのインターンシップ・プログラムの定義は、「主に大学生・大学院生がNPOで最低10日間(2週間)以上のインターンシップ(就業体験)を行うことのできる、何らかのコーディネート機能を有するプログラム」としています。
調査では、①大学生と大学院生を対象としたアンケート調査、②休眠預金の実行団体・資金分配団体を対象とした団体アンケート、③休眠預金の実行団体・資金分配団体を対象とした個人アンケート、及び④団体ヒアリングの 4 種類の活動を通じて「各団体と学生の双方にとって有益なNPOインターンシップ・プログラムとはどのようなものか」、そして「インターンシップ・プログラムを通して、JANPIAがソーシャルセクターの人材育成を行うことの価値と可能性」について調べています。
調査報告書等については、以下JANPIAホームページのリンクからご覧ください。
「経団連1%クラブ」は、経団連企業行動・SDGs委員会の下部組織として、企業による社会貢献活動の進展のために活動する、企業の知見の共有・共通課題の検討の場です。 2023年6月9日、この経団連1%クラブの会合にて、JANPIAが実施している企業連携についての報告を行いました。その概要を紹介いたします。
JANPIAは、一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)により設立された背景から、「経団連1%クラブ」と連携し、様々な活動を行っています。2023年6月9日、この経団連1%クラブの会合にて、JANPIAが実施している企業連携についての報告を行いました。その概要を紹介いたします。
まずJANPIAシニア・プロジェクト・コーディネーターの鈴木均から、企業連携の現状とアンケート調査の結果、そして企業連携の意義や可能性についてお話しました。
[JANPIAからの報告]企業との連携強化に向けて ~SDGs達成への貢献につながるパートナーシップ(連携)~
企業連携の現状
鈴木:JANPIA設立以来、重要な課題の一つとして企業連携に取り組んできました。経団連との連携に基づいて、1%クラブでの事例紹介、企業と助成先団体とのマッチング会、個別フォローアップ、企業セミナーなど、多種多様な活動をしています。その結果、企業と資金分配団体・実行団体の連携実績は、累計325件(2023年3月末時点)になっています。
また毎年、企業連携に関する休眠預金を活用する団体へのアンケート調査を行っていますが、2022年度に実施したアンケートの結果でも、資金分配団体、実行団体の多くが企業連携に強い関心を示しています。その中で連携したい企業像としては「協働で社会課題解決を目指す」が多くあがっており、さらに継続的な支援関係、資金的支援などへの期待もあります
連携による企業にとってのメリットや価値
休眠預金活用事業における連携は、企業側にも多様なメリット・価値を提供することをご紹介します。
●信頼性、信用性の高い団体へのアクセス
休眠預金活用事業では団体の選定にあたって、ガバナンスとコンプライアンスを重視しており、事業を推進するなかでも、基盤強化支援もしっかり行っていますので、安心して連携していただけます。
●資金分配団体とJANPIAによる企業と実行団体間のコーディネーション支援
連携の際にひとつのハードルとなるのがコーディネーションですが、現在は資金分配団体とJANPIAが仲介・調整を行っています。
●「社会的インパクト評価の知見獲得、インパクト志向の高い事業との接続」
すべての団体が社会的インパクト評価を実施しており、この活動を通して社会的インパクト評価の知見などの収集獲得も可能になります。
●ボランティア・プロボノを通じた社員の社会参画
社会貢献、人材育成の面、あるいはSDGsに貢献するような新しい事業の創出といった点からも非常にメリットがあります。
●社会価値と経済価値の両立を目指すSDGs起点の新しい事業機会の創出
「企業の高い技術力(シーズ)、豊富なリソース、組織力」と「NPO・ソーシャルベンチャーの社会課題に関する専門性、機動力、現場力」が相乗効果となって、インパクトのある事業を創出する機会が生まれます。
●広報面への貢献、SDGs貢献の訴求など
連携によって先進的な取り組みを創出することで広報効果も高まります。
[企業連携 事例紹介1] 〈三井住友海上×アレッセ高岡〉
三井住友海上火災保険株式会社
【発表者 経営企画部 SX推進チーム 唐澤篤子様 山ノ川実夏様
三井住友海上火災保険株式会社の社会貢献制度
唐澤:三井住友海上火災保険株式会社では、社員の社会貢献活動を促進する制度として「部支店で年に1つは環境・貢献活動」というものがございます。全国に160部支店があり、ライン部支店長が推進責任者となり、部支店長が推進役として「環境・社会活動サポーター」を選任する流れになっています。
JANPIAとの連携は3年目になり、ご提供いただいた休眠預金等活用事業を実施している団体のリストを社内に紹介しています。部支店から希望する活動、協働したい団体について連絡があると、まずJANPIAとつないで、資金分配団体、支援先団体となる実行団体、当社サポーターの4者でZoom面談を行い、マッチングすれば活動を開始しています。

アレッセ高岡へのプロボノ活動
山ノ川:特定非営利活動法人アレッセ高岡へのプロボノ活動について紹介します。まず資金分配団体である日本国際交流センターを交えてのミーティングを行い、アレッセ高岡の活動内容や、活動をしていくうえで困っていることなどを伺いました。アレッセ高岡は富山県で活動されていますので、富山支店の業務課長にも都合がつくときはオブザーブ参加してもらっていました。
2021年7月から支援を開始して、隔週月曜の14時から30分間のオンラインミーティングを実施してきました。具体的な相談事例としては、文書の作成、経理、事務などのような内容があります。
【文書】役員会議事録の書き方、著名人への支援依頼の手紙の添削、助成金申請書など、
【経理】出納帳の構成、助成金の管理方法、領収証の書き方、預り金の扱いなど
【事務】規定類のまとめ方、エクセルの操作方法、差込印刷の方法など
【管理】人事労務管理など
富山県と東京とで距離は離れていますが、オンラインで30分だけでも支援ができ、役に立つことができるのは発見でした。富山支店のメンバーに、現地での週末のイベントに顔を出してもらうなど、地元でのつながりもできています。
今回は会社としてプロボノ活動の検討を行うために私と唐澤の二人が業務時間を使って担当しましたが、就業中のプロボノを制度化するのは難しく、かといって時間外・週末の活動に積極的な社員は多くない感触があります。そのため、プロボノに興味のある社員の発掘が今後の課題です。

特定非営利活動法人 アレッセ高岡
【発表者】 理事長 青木由香様、事務局長 滝下典子様
「団体内だけで問題を解決するのは困難だった」
滝下:アレッセ高岡が活動する富山県高岡市は製造業がさかんで、1990年頃から日系ブラジル人の入植が増え、その方々の子どもたちが公立学校に入学するようになりました。理事長の青木はブラジルでの日本語教師の派遣を終え、高岡で外国人相談員として仕事をするなかで、日系ブラジル人の高校進学率が低いことに問題意識をもち、2010年に「高岡外国人の子どものことばと学力を考える会」(アレッセ高岡)の活動を始めました。現在は、学習支援事業、情報支援事業、市民性教育事業を行っております。
多方面から活動への高い評価をいただいてはおりますが、理事はじめ事務局員は会社勤めの経験者も少なく、何を始めるにも右往左往しており、団体内だけで課題を解決するのは困難な状態でした。
今回、三井住友海上火災保険の山ノ川さん、唐澤さんには、事務局員としての業務の基本を教えていただきました。
また、「これは専門家に聞いたほうがいい」「これは団体内で決める内容である」など、日々の細々した問題に対して答えの導き方のヒントを教えてもらいました。初めて作成した銀行への助成金申請が通ったときは、とてもうれしく感じました。また、高岡にも足をお運びいただきました。

地方都市では人的リソースが絶対的に不足
青木:小さい地方都市では、人的リソースが絶対的に少ないのが現状です。課題を打破するために新しい事業を考えても、「じゃあ、それを担える人は?」となり、事業が止まってしまいがちです。おそらく、みなさまからしたら「そんなことで?」と思うようなところで、つまずいていました。
私たちは普段、外国ルーツの子どもたちのサポートをしていますが、パラレルな形で私たち自身がサポートを必要としており、三井住友海上火災保険の山ノ川さんや唐澤さんが寄り添って日々の小さな障壁を一緒にクリアしてくれることで、立ち往生せず、挫けることなく事務局機能を実務的にも、精神的にも安定させることができています。

企業との「協働」から得た支援者としての学び
滝下:私たちは、これまでボランティアベースでやっていましたが、休眠預金等活用制度によって事業を進めるにあたり、事務局員を2名雇用しました。そのうちのひとりは外国ルーツの若者です。つまり事務局は外国ルーツの若者の成長と活躍の場でもあり、そういう意味では今回のプロボノ支援で私たちの事業をダイレクトに支えてもらいました。
プロボノ支援を受けるなかで、支援者としての外国ルーツの子どもたちへの向き合い方も見直すことになりました。背景の異なる者同士の協働とはどういうものかを私たち自身が学んだということです。それは当初、私たちが想像していなかった成果でした。
こうした支援のスパイラルが全国各地に広まってほしいと思います。コロナ禍を機にオンラインツールが普及しましたので、地理的距離にかかわらずリソースのマッチングも可能になりました。こうした輪がつながっていく先に、私たちが目指している多文化社会があるのではないかと思います。

[企業連携 事例紹介2] 〈アビーム×リディラバ×SIIF〉
アビームコンサルティング株式会社
【発表者】 エンタープライズドトランスフォーメーションビジネスユニット
デジタルプロセス&イノベーショングループFMCセクター
兼サステナビリティーユニット ダイレクター原田航平様
専門スキルを生かしたプロボノ支援
原田:アビームコンサルティング株式会社にて、プロボノという形で支援した事例を紹介するにあたって、まず支援先であるRidiloverが取り組む「旅する学校」がどんな事業なのかを簡単に説明いたします。
経済情勢や労働環境の悪化、教育・子ども支援における政策予算の少なさなどから、家庭の経済的状況による子どもたちの「体験格差」が存在しています。教育水準の違いだけでなく、新幹線に一度も乗ったことがない、旅行をしたことがないといった子どもたちもたくさんいます。こうした体験格差が義務教育後の望まないキャリア選択につながっている部分もあるのが現状です。これらに対して、「旅する学校」事業は、「誰もが希望をもって自分の生き方を選択できる社会」をつくり出すことを目指しています。
事業の対象は2つあります。ひとつは「奨学金をもとにした『多様な体験から学ぶ』旅の提供」として多様な体験を格差のある子どもたちに直接提供して、学んでもらうもの。ふたつ目は、子どもの体験格差に関する調査研究・情報発信・政策提言があります。

「旅する学校」における課題・支援ニーズ
この事業を継続し、社会的インパクトを拡大するにあたっては、多様で安定的な財源が必要になります。また、社会課題自体の認知を拡大して社会課題解決を加速させていくために、個人へのアプローチも重要です。こうしたことから、「『企業人材の個人寄付』に関する調査・寄付獲得に向けた支援が欲しい」という支援ニーズが Ridiloverから挙げられていました。
このニーズを踏まえて、昨年は2つのプロボノプロジェクトを実施しました。
第一弾として「企業人材の個人寄付」に関する調査を行いました。調査のなかでZ世代やミドル世代など世代ごとの意識の違い、さらに細分化したターゲットによって「寄付についての自分ごと化」を進めるために最適な施策が異なることも見えてきました。
このプロジェクトの期間は約2カ月間で、体制としては、弊社から私の稼働が15%(一日1時間程度)、シニアマネージャー1名が25%(一日2時間程度)、そして現場のコンサルタントを1名専任でアサインメントしました。さらに、第一弾の結果を踏まえて、第二弾の「企業人材の接点となる企業向け研修イベントの企画・トライアル実施」を行い、弊社メンバーに子どもの体験格差について学ぶ対面イベントに参加してもらい実証しました。


プロボノ連携に取り組む意義
会社としてプロボノ連携に取り組む意義ですが、大前提に「社会へのインパクト」があります。実行団体の社会課題への取り組みを支援することは、直接的に課題解決への貢献につながります。
それに加えて、自社への好影響として以下があげられます。
・企業としての知見・視点の獲得
ソーシャル領域における知見やリレーション、および将来の事業を考える視点の獲得という点で、有意義な活動ととらえています。
・従業員の能力開発
支援先と協力しながら問題解決を行うことによって視野や動き方の幅が広がります。このプロジェクトに携わった社員は、本業でも成果を上げるようになりました。
・従業員エンゲージメント
こうした活動を通して、本業の社会的意義や社会とのつながりをとらえるようになり、業務に対する主体性、責任感の向上につながっていると感じています。

株式会社 Ridilover
【発表者】 事業開発チームサブリーダー 高際俊介様
事業と政策の「はざま」にある問題
高際:Ridiloverは2009年に学生団体として立ち上がり、一般社団法人を経て、いまは主に株式会社として運営しています。特定の領域を設けずに社会課題に対して企業との事業開発あるいは省庁や自治体と連携しての政策・制度によって解決を進めるという、2つの側面でのアプローチをしています。
今回取り組んでいる事業では、「体験格差」を解消して子どもたちが自分らしく生きていくのに必要な力を育むことを目指していますが、この問題が悩ましい部分は、個々の子どもにとって、どんな体験があればプラスに作用するのかがわかりづらいところだと考えました。
また、行政からすれば、社会インパクトのロジックモデルが可視化できていないと制度設計が非常にしづらいということになります。加えて、体験格差が起こるのは経済困窮状態にある方々に多いため受益者負担も難しく、事業面でのアプローチにもハードルがあります。制度化も事業化も難しい、まさにはざまにある問題なのです。

お互いの専門性を発揮することができた
事業サイクルの持続可能性という観点からいうと、体験格差を問題視する人の総量を増やして個人寄付の導線をいかにつくっていくかが大事です。アビームのみなさまには、まさに事業の土台となる「企業人材の個人寄付」という部分に関してご協力をいただきました。
企業に勤めている方々が、個人寄付に対してどういうインサイトをもち、どうアプローチすれば「自分ごと化」していくのかを調査するのは難易度が高いのではないかと思っておりましたが、アビームのみなさまの本業での分析力を生かしていただきました。同時に、まさに社員のみなさまがターゲット層でもあるということで、非常にありがたいパートナーだったと思っています。また、専門ではない部分をプロボノ支援に頼ることができたことで、我々は本来の専門性を発揮できる部分に注力できたことは、今回、非常に大きかった点です。
一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)
【発表者】 インパクト・オフィサー 田立紀子様
田立:SIIFは、資金分配団体としてRidiloverさんと事業を実施しております。今回、私はアビームさんとRidiloverさんのコーディネーターとして伴走支援をさせていただきました。マッチングまでのヒアリングでは、双方の目的を揃えることが非常に重要です。私は地元では支援を受ける側として地域活動も行っておりますので、その経験も踏まえて、よりよいプロボノ実施のために支援企業側の窓口となるみなさまに知っていただきたいことを今回お伝えいたします。
1. 短期でできる仕事は「つまらないもの」に見えることが多い、それでよければ短期でも歓迎される
企業サイドから見ると簡単でつまらないものに感じる業務でも、人もお金もない支援先団体にとって、それらを担ってもらえることは大歓迎です。また短期で現場を見たいという声も聞きますが、そのような場合は支援先団体の疲弊を招かないか注意が必要です。
2. 大事なクライアントは支援先団体であることを忘れない
支援企業のなかには社員が何人参加したか、社員の満足度はどうかばかりを気にされる場合もあるようです。プロボノを実施していく中で、支援先団体が置き去りにされていないか、KPIをぜひチェックしてみてください。
3. 窓口にコーディネーション機能を備えることが重要
休眠預金活用事業では、資金分配団体が伴走しますが、プロボノを成功させるためには企業の窓口担当者が適切な座組をつくれるかが重要だと考えます。
4. 支援先団体も工数がかかるプロボノは、タダでも嫌がられることがある
支援先団体も往々にしてリソースが潤沢ではないため、支援先団体側の体制に配慮することが大事です。支援企業からの支援を受けるためには、支援先団体側も準備をする必要があるからです。ゴールへの低いコミットメントや、団体の現状や意向に寄り添えない場合は、疲弊につながる可能性があります。

東京都を拠点に、ベトナム人技能実習生や留学生への支援活動を行う「日越ともいき支援会」。日本に在留するベトナム人の技能実習生や留学生の数は急増していますが、劣悪な環境に置かれていることも少なくありません。「日越ともいき支援会」は、そんなベトナム人の「駆け込み寺」として、住居の確保、帰国できない若者の保護、就労支援など、さまざまな活動を行っています。2020年度、2021年度の休眠預金活用事業(コロナ枠)では、コロナ禍で生活困窮者となった約1万人以上のベトナム人を支援してきました。今回は、コロナ禍、そして現在の支援事業について、同団体の代表理事・吉水慈豊さんにお話を伺いました。[コロナ枠の成果を探るNo.4]です。
「ベトナム人の命と人権を守る」活動を始めたきっかけとは
ベトナム人の命と人権を守る。これは、「日越ともいき支援会」が支援活動の目的として掲げているものです。吉水さんがこの思いを強く持つようになった理由は、幼少期まで遡ります。

吉水さんは埼玉県にある浄土宗寺院の出身で、住職であるお父様がベトナム人への支援を行っていました。お寺の離れにはベトナム人僧侶が暮らしていて、幼い頃からベトナム人とともに暮らしてきたのだそうです。
2013年頃から、吉水さんはお父様の支援活動のサポートを始めます。東京都港区の寺院を拠点にしていたこともあり、亡くなった技能実習生や留学生たちをベトナムに帰国させたり、お葬式をしたりといった支援を行っていました。そのような中、吉水さんが支援について深く考えるきっかけとなる出来事が起こります。
「その当時、支援を行っていた実習生の数人が自殺してしまったのです。『どうしてこんなことが起こってしまうのだろう』と、技能実習の制度などを調べました。そのとき『ベトナム人の命と人権を守るにはどうすればいいのか』と考えたことが、現在の支援活動の根っこの部分になっています」
その後、コロナ禍で保護しなければならないベトナム人が爆発的に増えたことを受けて、2020年1月にNPO法人として認証を受けました。
コロナ禍での物資支援や保護にくわえ、勉強会や就労支援も実施
コロナ禍では、職を失い困窮したベトナム人の若者が急増。約1万人に物資の支援を行い、数千人は港区の寺院などで一時的に保護をしました。
当時はベトナムが海外からの入国制限を実施したこともあり、ベトナムに帰れない若者が多くいました。妊婦や高齢者は帰国が優先されましたが、それ以外のベトナム人は帰国することができず、最大何万人というベトナム人が帰国待ちという状況に陥ったのです。
吉水さんは、彼らを保護すると同時に、出入国在留管理庁(入管庁)や法務省と掛け合い、在留資格の交付をお願いしました。その甲斐もあってか、国は技能実習生に対する雇用維持支援を発表。これは特定技能を目指す外国人に対し、最大で1年間の在留を認めるというものです。
ただし、日本で生活し続けるためには、在留期間中に特定技能試験に合格すれば良いという単純な話ではありません。「若者たちをただ保護するだけではダメで、日本語や特定技能試験の勉強もして、新しい職場に繋げていかなくてはならない。当時はかなり切羽詰まった状況で、物資支援や保護に加えて、勉強会などの支援を行っていました」

その際、役に立ったのがコロナ禍での助成金です。以前は寄付金で支援を行っていましたが、コロナウイルスの流行が長引くにつれ、それだけでは難しい状況になったそうです。
「衣食住の確保だけでも、かなりのお金がかかります。食費は毎日数万円かかっていましたし、着の身着のまま逃げていた人たちへは衣服の支援もしていたので、助成金の存在は本当に助かりました。また、勉強会には日本語の先生や、ベトナム語で教えられる留学生にも有償で来てもらっていました。ボランティアではなく有償でできたのは、助成金があったからにほかなりません」
ほかにも、妊産婦や病気になった人への医療支援にも力を入れています。技能実習生や留学生たちは日常会話レベルの日本語はできるものの、医療や法律に関する話を日本語でやりとりするのは難しく、日本人の支援が必要不可欠だと吉水さんは考えています。
SNSの活用など、ベトナム人の若者目線で考えた支援を
コロナ禍は数千人の保護を行ってきた「日越ともいき支援会」。それだけの規模で支援を行うとなると、お金はもちろん、人手も必要です。しかし、「日越ともいき支援会」のスタッフは日本人6人、ベトナム人12人の計18人のみ。スタッフだけでは到底この規模の支援は行えません。にもかかわらず、大規模な支援ができたのはなぜか——そのヒントは、各分野のスペシャリストとの連携にありました。
「たとえば、就労関係は連合東京、医療関係は病院の先生、行政関係は区役所の方といったように、専門分野の方々と連携して支援を行ってきました。こうした方々は、父の時代から繋がっている人もいましたし、テレビなどのメディアに取り上げられたことをきっかけに連絡をくれる方もいましたね」
吉水さんたちが自ら発信することはほとんどなかったそうですが、それでもたくさんのメディアが「日越ともいき支援会」を取り上げました。当時、東京を拠点とする支援団体のなかで「日越ともいき支援会」がかなり大規模だったことにくわえ、取材依頼を一切断らなかったことがメディア露出の機会を増やしたのでは、と吉水さんは考えています。
「業界の襟を正すにはメディアの力も重要です。技能実習制度の問題を多くの人に知ってもらうため、現在も技能実習生へのインタビューなどは積極的に受けています」
吉水さんたちが自ら発信することはほとんどなかったそうですが、それでもたくさんのメディアが「日越ともいき支援会」を取り上げました。当時、東京を拠点とする支援団体のなかで「日越ともいき支援会」がかなり大規模だったことにくわえ、取材依頼を一切断らなかったことがメディア露出の機会を増やしたのでは、と吉水さんは考えています。 「業界の襟を正すにはメディアの力も重要です。技能実習制度の問題を多くの人に知ってもらうため、現在も技能実習生へのインタビューなどは積極的に受けています」

支援する側の人手を充実させる一方で、もう一つ重要なのが、困窮しているベトナム人に支援の情報を届けること。「日越ともいき支援会」は約1万人へ物資支援、数千人の保護を行いましたが、これだけ大規模な支援ができた背景には、日頃からSNSでベトナム人と繋がる地道な活動がありました。
「コロナ前からFacebookのMessengerを通して、ベトナム人の若者と積極的に繋がっていたのです。『ベトナム人を助ける日本人がいる』ということを、ベトナム人コミュニティの中で周知することが大事だと考えていました」
その活動の成果は、コロナ禍に顕著に現れます。吉水さんのもとへ、ベトナム人からSOSの連絡がひっきりなしに届くようになったのです。こうしたSOSに対し、東京近辺に住んでいる人に対しては寺院に来てもらい、遠方で東京に来るお金がない人に対しては、東京までの交通費を振り込み、来てもらったのだそう。多いときには1日何百件と来ていたSOSを、吉水さんは一つも断りませんでした。

コロナが落ち着いた現在は、Facebookでベトナム人と繋がるのはもちろんのこと、TikTokを活用した啓発事業も実施。TikTokでは、日本の法律についてや、就労のための窓口紹介など、日本で生活するにあたって必要な事柄を伝えています。 「ベトナム人が使っているSNSはFacebookとTikTokが多いので、私たちもこの2つを活用しています。相談窓口などで『何かあったら電話して』と言われることも多いのですが、彼らはSIMカードを持っていない人がほとんど。自分のスマートフォンから電話ができないので、電話は手段としてはあまり意味がありません。支援を私たちの自己満足で終わらせないためにも、彼らの目線で考えることが重要です」
技能実習生の人権を守るために。重要なのは、しっかりとした支援体制の構築
コロナ禍ではさまざまな支援活動を行ってきましたが、なかでも印象に残っているのは、2022年11月に愛媛県西予市の縫製工場に対して、技能実習生11人への不払い金2,700万円の支払いを求めたこと。この問題が明るみに出ると、生産委託元のワコールホールディングスは技能実習生の生活を支援するとして、「日越ともいき支援会」に500万円の寄付をしました。ほかにも、問題を知ったいくつもの会社が声を上げたり、ニュースを見た一般の人から暖かい声をかけてもらったりしたといいます。
「厚生労働省の方に『歴史を変えてくれてありがとう』、周りの方からは『頑張ったね』などと声をかけてもらったことが本当に嬉しかったです。私としては特別頑張ったわけではなくて、いつも通りの支援をしていたのですが、その結果たくさんの人に知ってもらうことができました」

愛媛県西予市の縫製工場の問題は、不払い金の額も大きかったため、多くのメディアに取り上げられ話題になりました。しかし、これは氷山の一角に過ぎず、日本各地ではこうした不払い金問題をはじめとして、企業から不当に解雇されるなどトラブルが相次いでいます。
こうした状況を受けて、政府の有識者会議は2023年4月、現在の技能実習制度を廃止し、新しい制度へと移行する案を示しました。この新制度について、吉水さんは根本的な問題解決にはなっていないと話します。
「たとえば、現在は原則不可とされている転職について緩和の方針が示されていますが、転職できないから失踪などの問題が起こるわけではありません。何かあった際に技能実習生から相談を受けたり、支援したりする体制が機能していないことが問題なんです」
本来であれば、企業と技能実習生の間にトラブルが起こった場合、実習生の受け入れ先に指導を行う「監理団体」と呼ばれる組織や、監理団体から報告を受けるなどする「外国人技能実習機構」が問題解決や支援を行います。しかし、こうした仕組みが十分機能していないために、労働環境や人権侵害に関するトラブルが後を経たないと吉水さんは考えています。
「まずは監理団体、そのあとに外国人技能実習機構、と相談ステップを踏むわけですが、ここで問題解決に繋がらないと、実習生たちも諦めるしかなく失踪してしまうんです。その問題を解決しないまま転職の制限を緩和しても、『1年我慢して働いたら、より時給の高い東京に行こう』といった実習生が増えるだけ。まずはしっかりとした支援体制を構築することが必要だと思います」

技能実習生を取り巻く環境は少しずつ変化の兆しを見せていますが、現在も「日越ともいき支援会」には日々相談やSOSの連絡が届きます。吉水さんはこうした現場の声を東京出入国在留管理局や厚生労働省に届け、ベトナム人の保護や支援だけでなく、国側にも支援の充実を図るよう働きかけています。
日本人とベトナム人がともに生きる社会を目指して、「日越ともいき支援会」はこれからもベトナム人の命と人権を守る活動を続けていきます。
事業基礎情報【1】
実行団体 | 特定非営利活動法人 ⽇越ともいき⽀援会 |
事業名 | 在留外国人コロナ緊急支援事業 |
活動対象地域 | 全国 |
資金分配団体 | 特定非営利活動法人 ジャパン・プラットフォーム |
採択助成事業 | 2020年度新型コロナウイルス対応支援助成<随時募集3次> |
事業基礎情報【2】
実行団体 | 特定非営利活動法人 ⽇越ともいき⽀援会 |
事業名 | 在留外国人コロナ緊急支援事業 |
活動対象地域 | 全国 |
資金分配団体 | 公益財団法人 日本国際交流センター |
採択助成事業 | 2021年度新型コロナウイルス対応支援助成<随時募集7次> |
事業完了にあたり、成果の取りまとめるために実施されるのが「事後評価」です。事後評価は、事業の結果を総括するとともに、取り組みを通じて得られた学びを今後に生かせるよう、提言や知見・教訓を整理するために行われます。今回は、2022年3月末に事業完了した2019年度通常枠【中国5県休眠預金等活用コンソーシアム休眠預金活用事業|中国5県 休眠預金等活用コンソーシアム】の事後評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。
事業概要等
事業概要などは、以下のページからご覧ください。
事後評価報告
事後評価報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。
・資金分配団体
・実行団体
【事業基礎情報】
資金分配団 | 中国5県 休眠預金等活用コンソーシアム (幹事:特定非営利活動法人 ひろしまNPOセンター) |
事業名 | 中国5県休眠預金等活用コンソーシアム休眠預金活用事業<2019年度通常枠> |
活動対象地域 | 中国地方 |
実行団体 | ・たすき 株式会社 ・特定非営利活動法人 子どもシェルターモモ ・特定非営利活動法人 湯来観光地域づくり公社 ・特定非営利活動法人 NPO狩留家 |
事業の「社会の諸課題の解決を図る」という成果の観点について、評価の信頼性及び客観性を確保するため、外部の第三者により評価を実施しています。今回は、2022年3月末に事業完了した2019年度通常枠【子どもの未来のための協働促進助成事業~不条理の連鎖を癒し、皆が共に生きるエコシステムの共創~|エティック】の第三者評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。
第三者評価・外部評価とは
事業の「社会の諸課題の解決を図る」という成果の観点について、評価の信頼性及び客観性を確保するため、外部の第三者により評価を実施しています。事業規模、重要性、国民的関心度、革新性の高さ、発展性等の観点よりJANPIAで対象事業を選定し、資金分配団体および実行団体とあらかじめ合意した上で、自己評価とは独立した形で評価が行われます。
2019年度通常枠では以下の2つの事業を選定し、第三者評価を実施しました。このページでは(2)の報告書を紹介します。
(1) こども食堂サポート機能設置事業
〈資金分配団体〉一般社団法人 全国食支援活動協力会
〈実行団体1〉一般社団法人コミュニティシンクタンク北九州
〈実行団体2〉社会福祉法人那覇市社会福祉協議会
〈評価実施者〉 株式会社国際開発センター(IDCJ)
★(2)子どもの未来のための協働促進助成事業
~不条理の連鎖を癒し、皆が共に生きるエコシステムの共創~
〈資金分配団体〉特定非営利活動法人 エティック
〈実行団体〉特定非営利活動法人岡山NPOセンター
〈評価実施者〉 チームやまびこ(浅井美絵、中谷美南子)
「子どもの未来のための協働促進助成事業~不条理の連鎖を癒し、皆が共に生きるエコシステムの共創~」第三者報告書
第三者報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。
事業情報
【事業基礎情報】
資金分配団体 | 特定非営利活動法人 エティック |
資金分配団体事業名 | 子どもの未来のための協働促進助成事業〜不条理の連鎖を癒し、皆が共に生きる地域エコシステムの共創〜 (2019年度通常枠) |
実行団体 | 特定非営利活動法人 岡山NPOセンター |
実行団体事業名 | 「おかやま子ども基金(仮)」創設を核とした子どもの虐待・貧困等0を目指すオール岡山体制構築事業 |
事業の「社会の諸課題の解決を図る」という成果の観点について、評価の信頼性及び客観性を確保するため、外部の第三者により評価を実施しています。今回は、2022年3月末に事業完了した2019年度通常枠【こども食堂サポート機能設置事業|一般社団法人 全国食支援活動協力会】の第三者評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。
第三者評価・外部評価とは
事業の「社会の諸課題の解決を図る」という成果の観点について、評価の信頼性及び客観性を確保するため、外部の第三者により評価を実施しています。事業規模、重要性、国民的関心度、革新性の高さ、発展性等の観点よりJANPIAで対象事業を選定し、資金分配団体および実行団体とあらかじめ合意した上で、自己評価とは独立した形で評価が行われます。
2019年度通常枠では以下の2つの事業を選定し、第三者評価を実施しました。このページでは(1)の報告書を紹介します。
★(1) こども食堂サポート機能設置事業
〈資金分配団体〉一般社団法人 全国食支援活動協力会
〈実行団体1〉一般社団法人コミュニティシンクタンク北九州
〈実行団体2〉社会福祉法人那覇市社会福祉協議会
〈評価実施者〉 株式会社国際開発センター(IDCJ)
(2)子どもの未来のための協働促進助成事業
~不条理の連鎖を癒し、皆が共に生きるエコシステムの共創~
〈資金分配団体〉特定非営利活動法人 エティック
〈実行団体〉特定非営利活動法人岡山NPOセンター
〈評価実施者〉 チームやまびこ(浅井美絵、中谷美南子)
「こども食堂サポート機能設置事業」第三者評価報告書
第三者報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。
事業情報
【事業基礎情報】
資金分配団体 | 一般社団法人 全国食支援活動協力会 |
資金分配団体事業名 | こども食堂サポート機能設置事業(2019年度通常枠) |
実行団体1 <事業名> | 一般社団法人 コミュニティシンクタンク北九州 <⼦ども食堂ネットワーク北九州機能強化事業> |
実行団体2 <事業名> | 社会福祉法人那覇市社会福祉協議会 <こども食堂等支援事業> |
事業の「社会の諸課題の解決を図る」という成果の観点について、評価の信頼性及び客観性を確保するため、外部の第三者により評価を実施しています。今回は、2021年3月末に事業完了した2020年度コロナ枠【社会的脆弱性の高い子どもの支援強化事業|セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン】の外部評価報告書をご紹介します。ぜひご覧ください。
第三者評価・外部評価とは
事業の「社会の諸課題の解決を図る」という成果の観点について、評価の信頼性及び客観性を確保するため、外部の第三者により評価を実施しています。事業規模、重要性、国民的関心度、革新性の高さ、発展性等の観点よりJANPIAで対象事業を選定し、資金分配団体および実行団体とあらかじめ合意した上で、自己評価とは独立した形で評価が行われます。
2020年度コロナ枠では以下の事業を選定し、外部評価を実施しました。このページではその報告をご紹介します。
■社会的脆弱性の高い子どもの支援強化事業
〈資金分配団体〉公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン
〈実行団体〉特定非営利活動法人SOS子どもの村JAPAN
〈評価実施者〉NPO組織基盤強化コンサルタントoffice musubime 河合将生
休眠預金等活用事業におけるコロナ緊急助成事業における外部評価 (特定非営利活動法人SOS子どもの村JAPAN)外部評価報告書
外部報告書は、以下の外部リンクからご覧ください。
事業情報
【事業基礎情報】
資金分配団体 | 公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン |
資金分配団体事業名 | 社会的脆弱性の高い子どもの支援強化事業 <2020年度新型コロナウイルス対応緊急支援助成> |
実行団体 | 特定非営利活動法人SOS子どもの村JAPAN |
実行団体事業名 | コロナ禍における虐待防止と家族の分離予防事業 |
2013年に福岡県初のフードバンク団体として設立された、NPO法人フードバンク北九州ライフアゲインは、「すべての子どもたちが大切とされる社会」を目指し、子育て世帯を中心とした食料支援に取り組んでいます。コロナ禍で急増した「食料支援の需要」と「食品ロス」の問題を受けて、同団体は食料を配布するだけでなく、サプライチェーンの効率化やステークホルダーの連携促進にも尽力しています。食料品店、中間支援組織、行政等と協力して22年度に集まった食料品は136t以上。月35世帯ほどだった支援規模は月100〜150世帯にまで増加しました。こうした功績の背景にはどんな工夫があったのか。理事の陶山惠子さんにお話を伺いました。[コロナ枠の成果を探るNo.3]です。
「食料支援の需要」と「食品ロス」の問題に向き合い、延べ4,000世帯を支援
子どもの通う学校が休校になり、働きに出られず、職を失った。自宅にこもる時間が増え、ストレスが蓄積されたことで家庭が崩壊した。2020年、新型コロナウイルスがもたらしたこのような問題は北九州市でも深刻を極めていた、と陶山さんは振り返ります。
「コロナが原因で失職や離婚した家庭が増え、食料支援を求める世帯が急増。2019年度末には月30〜40世帯だったのが、2020年度にはゆうに100世帯を超えるほどに。同時に人の流れや物流が滞った影響で、土産品が売れ残ったり、給食用の食材も廃棄になったりと、食品ロスの問題も深刻化する一方でした」

この問題に立ち上がったのが、陶山さんが理事を務める、NPO法人フードバンク北九州ライフアゲイン(以下、ライフアゲイン)です。同団体は、2013年の設立時より、食品ロスを食料支援につなげる環境活動と、経済的に厳しい子育て家庭への支援という福祉活動の両方に取り組んできました。
コロナ禍において、ライフアゲインがLINE公式アカウントコミュニティ463名に対して実施したアンケートによると、257件あった回答のうち約7割が「家計の中で最も『食費』を充実させたい」と回答。こうした現場のニーズを出発点に、食料支援の体制を強化し、食品ロスの増加を食い止めるため、ライフアゲインによる休眠預金活用事業ははじまりました。

事務所の近くに食品を保管するための倉庫を借り、スタッフを雇用したり、食品棚や搬入用の機材を購入したり。休眠預金を主に食品の管理環境や体制を整えるために活用することで、より幅広い層へのスムーズな食料支援につながったと言います。
「主な支援の対象は子育て世帯ですが、生活困窮者の方たちにも、必要に応じて行政やケースワーカーさんを通じて食料支援をすることがあります。北九州市が積極的に取り組んでいる『子ども食堂』や連携先の大学で自主的なフードパントリー(※)を実施しました」
※日々の食品や日用品の入手が困難な方に対して、企業や団体などからの提供を受け、身近な地域で無料で配付する活動のこと

2022年末までの事業期間を経て、ライフアゲインが食品提供先として連携する福祉施設、および支援する団体の数は145団体(自治体福祉課・社会福祉協議会を除く)にのぼり、食品を提供した企業は188団体へ。
食料支援件数は延べ4,000世帯を超え、寄贈された食品の受け入れ重量は2021年は110t、2022年度は130t以上と、一般的なフードバンク事業と比較し、圧倒的な規模での支援実績を記録しました。
100を超える団体や行政と連携し、支援のアウトリーチを強化
なぜ、これだけの規模で各所から食品が集まり、支援が可能になったのか。取材を通じて見えてきたのは、ステークホルダーとの連携力の強さ。それを証明した取り組みの一つが、食料配布のサプライチェーンの効率化です。
2019年、ライフアゲインは福岡県リサイクル総合研究事業化センターが主催する「食品ロス」をテーマとした研究事業にチームリーダーとして参画し、複数の団体と協力して、食品ロスの削減に向けた取り組みを進めることに。 結果、福岡県内でフードバンク活動の機運を高めるために新設されたのが、「福岡県フードバンク協議会」です。

「現在、県内には8つのフードバンク団体が活動していますが、個別に食品を提供してくれる企業を開拓するのは大変ですし、企業にとっても一つひとつの団体と合意書を結ぶなどの対応をするのは相当な手間になります。逆に言えば、それらが解消されたなら、より多くの食品が効率的に集まるはず。そう考え、フードバンク団体と食品を提供する企業をつなぐ窓口の機能を一箇所にまとめるために協議会を設置しました」
食品寄贈企業の開拓を始め、寄贈された食品の受付や管理、フードバンク団体への支援を呼びかける啓蒙活動や行政への政策提言を含む広報活動…。こうした役割を福岡県フードバンク協議会が積極的に担う体制が実現したことで、以前よりも集まってくる食品の数は格段に増えたと言います。

そして、なにより重要なのは、集まった食品をいかに必要としている人に届けるか。北九州市内における相対的貧困世帯は母子世帯だけでも7,000にのぼると推測される一方、2019年度末時点で、ライフアゲインが支援する子育て世帯は50にとどまっていました。 当事者からの支援要請を待つのではなく、こちらから積極的に当事者とつながっていく「アウトリーチ」を強化する。その必要性を実感したライフアゲインは、支援希望者とつながるLINE公式アカウントを開設し、行政と連携して団体の活動を広く告知。これが支援者の拡大に大きく貢献したと、陶山さんは話します。
「市内の各区役所に案内を設置し、2021年の冬休み前には行政からの提案で、児童扶養手当の受給者を対象とした配布物の中にチラシを同封してもらいました。送付先は約1万人。当初は300世帯だった支援対象の幅を、思い切って1,000世帯にまで広げました。支援希望者にはLINE公式アカウントへの登録を促したところ、新たに1,200名とつながることができたんです」

口コミの力も相まって活動の認知はさらに広がり、取材時点でLINE公式アカウントに登録している支援希望者は1,800名にまで増加しました。現在も学校の長期休み前には、LINEを通じて食料支援の希望を聞いています。
「共に助け合う心」の強さ。未来の孤立を防ぐために
ステークホルダーとの連携により、これまで以上に幅広い世代への食料支援が実現したころ、ライフアゲインの事務所には支援を利用した方からのお礼のメッセージが続々と届き始めました。
「孤独じゃないと実感して勇気づけられた」「私たち家族のことを想ってくれる人がいると実感して元気が出た」ーーそんな感謝の声が溢れる中、とりわけ胸を打たれたメッセージについて、陶山さんは話してくれました。
「中学生の女の子から、こんな手紙が届いたのです。『ありがとうございます。これでお母さんと一緒にご飯が食べられます。お母さんはいつも私達がお腹いっぱい食べられるようにと、余りものばかりを食べて、まともな食事をしていません。食料を届けてくれたおかげで、家族みんなでご飯を食べられることが何より嬉しいです』と。食料支援を希望する人の生活は、私たちが想像するよりもはるかに厳しいのだと思い知らされると同時に、必要な人に支援が届くことの意義を実感できた瞬間でした」

「私は決して独りじゃなかった」。食料支援を受け取った多くの人がそう感じたように、ライフアゲインもまた、支援を実施する中でステークホルダーによるサポートの心強さを実感していました。
「1,000世帯に食料支援のボックスを届ける際、梱包作業がとにかく大変だったんです。そこで食料を寄贈してくださった企業にお声がけをしたら、多くの方が箱詰めのボランティアに参加してくれました。また、送料を賄うためにクラウドファンディングで支援を募ったら、目標金額を超える120万円の寄付が集まりましたし、資金分配団体の一般社団法人全国フードバンク推進協議会さんも他団体の参考になる情報を共有してくださるなど、常に相談しやすい関係性を築いてくださいました。
あとは何より、活動を続ける中で行政との関係性が変化してきたなと実感しています。最近では市が主催するフードバンクの事業に対して提言を求められることもあり、相互に頼り、頼られる関係性が醸成されてきたなと感じています」

つながり続ける関係の中で、助けを求めることは決して恥ずかしいことじゃないーー「家計は苦しいけれど、食料支援を受けるのは抵抗がある」という人も少なからずいる中、ライフアゲインはそんなメッセージを発信し続けてきたと言います。
困っている人には手を差し伸べ、自分が困っているなら周りに助けを求める。ライフアゲインの“共助”の姿勢は周囲にも伝播し、大きな力となって、誰一人孤立しない未来を引き寄せ続けるに違いありません。
最後に陶山さんは、団体の今後についてこう語ってくれました。
「昨今は物価高騰の問題もあり、子育て世代はもちろん、さまざまな事情から困窮し、孤立している人が増え続けています。私たちとしては、フードバンク事業を着実に続けながら、これまで以上に福祉活動にも力を入れたいなと。取り組みの一つとして、2022年からは家庭訪問型の子育て支援の準備も進めており、新しく借りた事業所ではさまざまな困りごとに耳を傾ける相談室を開こうと考えています。今後は食料支援を入口に、支援を必要としている一人でも多くの人とつながり、安心できる関係性を築くことで、困ったときには気軽に頼ってもらえる存在になりたいです」
【事業基礎情報】
実行団体 | 認定特定非営利活動法人フードバンク北九州 ライフアゲイン |
事業名 | コロナ禍でも届く持続可能な食支援強化事業 |
活動対象地域 | 北九州市及び近郊地域 |
資金分配団体 | 一般社団法人 全国フードバンク推進協議会 |
採択助成事業 | 2020年度新型コロナウイルス対応支援助成 |