休眠預金等の活用を通じて達成すべき目標として、①社会の諸課題の解決と、②社会の諸課題の解決のための自立的かつ持続的な仕組みの構築が掲げられています。この目標の達成のため実施される事業全般を対象に、社会的インパクト評価として、課題の分析・事業設計の分析・実施状況の分析・アウトカムの分析に取り組んでいただき、効果的・効率的な事業実施、成果の可視化・発信、民間公益活動全般の質の向上のための学びの抽出等に取り組むことが求められています。
社会的インパクト評価とは、「短期、長期の変化を含め、当該事業や活動の結果として生じた社会的、環境的な『変化』や『便益』等の『アウトカム(短期・中期・長期)』を定量的・定性的に把握し、当該事業や活動について価値判断を加える(評価を行う)こと定義しています。
指定活用団体、資金分配団体、活動支援団体及び実行団体が取り組みます。なお、支援対象団体については、社会的インパクト評価の実施を一律に求めませんが、自らの活動の進捗状況、非資金的支援を受けるに当たり設定した目標の達成度や非資金的支援の効果等を定期的に活動支援団体に報告することが求められています。
事前評価の目的は、事業の必要性・妥当性を検証し、事業計画を改善することです。事業で解決したい課題の成り立ちや問題構造を俯瞰的に把握し、事業を実施する地域の対象ニーズを改めて把握します。その上で、事業目標を達成するために、適切な戦略がたてられているかを関係者と検証します。具体的には、関係者分析や事業設計図の作成を行い、事業計画書へそれらの内容を反映し、事業関係者で検証します。
JANPIAで作成している実行団体向け評価ハンドブック~事前評価 事業設計図編~、~事前評価評価小項目編から~が、ヒントになりますので、ご参照ください。
▽実行団体向け評価ハンドブック
https://www.janpia.or.jp/dormant-deposits/ongoing/guideline/(外部リンク)
中間評価の目的は、活動内容や実施体制を見直し、事業を改善することです。具体的には、事前評価で設定したアウトプットを測定し、アウトカムの発現の兆しを確認し、活動は計画通り進んでいるか、想定していた支援対象者に届いているか、事業設計図は見直しが必要か、実施体制やマネジメントは適切か、支援対象者や関係者のニーズに変化はあるか、インプットは計画通りに調達できているか等の観点から、実施状況の適切性を評価します。評価を踏まえ、残りの事業期間で、アウトカムの達成見込みを高めるためにどのように事業計画を改善すべきか検証するための調査等を実施するほか、事業期間終了後の活動の持続性を担保するための取組(組織基盤強化や環境整備等)についても計画の見直しを行い、事業計画書を必要に応じて修正します。
事後評価の目的は、事業成果の測定を行い、事業の価値判断を行い、学びを抽出することです。「事業の価値の判断」とは、課題やニーズ、事業運営管理の適切性、課題やニーズに対する事業設計の整合性、成果の達成状況の全てを振り返り、事業の妥当性を検証することをさします。具体的には、アウトプットとアウトカムの測定を行い、成果の達成状況を評価します。加えて、波及的・副次的・想定外のアウトカムや事業の効率性の観点からもアウトカムの実績を評価します。これらの事業成果を整理したら、事業の成功要因と課題について分析をします。その後、結論として、全ての評価要素を振り返り、課題の分析・事業設計の分析・実施状況の分析・アウトカムの分析の結論を根拠とともに記載します。その後、有益な提言、知見、教訓を整理し、事業より抽出された学びが、社会課題の解決に広く活用することを目指します。
追跡評価の目的は、通常枠の場合は、解決に時間を要する社会課題に係る事業の場合に、事業期間終了後、一定期間の後に、事業の中長期的成果や波及効果等の把握、事後までの評価の妥当性等の検証等を行うために実施するものです。 活動支援枠の場合は、事業終了後、一定期間の後に、活動支援プログラムの成果や担い手の育成・自立状況の把握、活動支援プログラムの有効性等の検証等を行うために実施します。
追跡評価の要否については、実行団体と資金分配団体、支援対象団体と活動支援団体と、それぞれJANPIAを含めた協議の上、個別に決定することとします。
活動支援団体の事前評価は、事業実施前に、行おうとする活動支援プログラムの必要性・妥当性を評価することが主な目的です。活動支援団体に申請する団体は、事前評価として、提案する活動支援プログラムについて、課題の分析や事業設計(事業設計図(ロジック・モデルやセオリー・オブ・チェンジ等)を含む)の妥当性の検証を行った上で、事業計画書を作成してください。
具体的には、課題の分析として、当該活動支援プログラムにおいて対象とする支援対象団体の想定、支援対象団体が抱える組織上・活動上の課題を特定します。次に、事業設計の妥当性として、事業目標を設定し、その目標を達成するための活動からアウトカムまでの論理的なつながりを事業設計図として可視化し、論理の妥当性を検証します。事前評価を実施する際には、何を重点的に評価するのか(評価の目的)、いつ、だれが、どのように実施するのかについて評価表を設定し、評価計画を作成します。詳しくは、「資金分配団体・活動支援団体・実行団体に向けての評価指針」および活動支援団体に関する評価のガイドラインをご確認ください。
中間評価は、成果の進捗状況を把握し、事業活動や予算・人材等の資源配分の見直し、必要に応じて事業計画の改善につなげることが主な目的です。その評価結果から得られた知見を具体的に事業で活用し、事業終了時のアウトカムの発現に寄与することが重要です。
具体的には、評価計画を活用して、支援対象団体からの報告に含まれる活動の進捗状況、設定した目標の達成度、非資金的支援の効果等を検証することで、実施状況の分析と必要に応じてアウトカムの達成状況や効率性の分析を行い、アウトプット、アウトカムを必要に応じ見直します。事業実施中の各種記録や担当者との振り返りなども情報として活用します。
事後評価は、事業期間終了時までに実施し、アウトカムの分析を中心に、課題の分析、事業設計の分析、実施状況の分析まで全て網羅します。この評価では、課題・成果を振り返り、提言及び知見・教訓を導き出すことが目的です。
事後評価では、課題の分析、事業設計の分析、実施状況の分析、アウトカムの分析まで全て網羅しますが、ここではアウトカムの分析が最も重要になります。課題の分析、事業設計の分析、実施状況の分析は、アウトカム分析の結果をもとに、事業がもたらした成果に照らし、課題やニーズの適切性やそれらに対応する事業設計の整合性、事業実施プロセスがどうであったかを自己評価します。
アウトカムの分析では、事業計画書で設定したアウトカム指標に照らし、支援対象団体から報告があった目標達成度を含むデータの収集・分析を行い、事業実施前と比較して事業実施により生じたアウトカム(正及び負)を検証します。