助成事業において、資金分配団体や実行団体が社会的インパクト評価を実施するのにかかるコストの負担はどのようにするのでしょうか?

社会的インパクト評価等に係る評価関連経費として、資金分配団体及び実行団体にそれぞれ事業費の助成額の5%を上限として支援します。評価関連経費の例としては、「評価や分野専門家による伴走支援、ロジックモデル(事業設計図)の検証の助言、成果・モニタリング指標の設定、評価計画作成等・類似事業の視察・意見交換・報告会の開催・冊子作成費用等」が挙げられています。

休眠預金活用事業では評価の担当者を定めて自己評価をしていただくことが基本となります。評価関連経費を活用し、外部の評価専門家や分野専門家の助言やサポートを受けることも可能です。その場合、評価業務全てを外部に委託するのではなく、支援を受けながら自団体で評価に取り組むことが求められています。

休眠預金等活用制度では、すべての事業で社会的インパクト評価の実施が必須とされています。国民の資産を活用する事業として、事業やプロセスの透明性や適正性の確保、成果の可視化に取り組むことが求められているためです。なお、事業規模および評価関連経費に見合った評価を行うこととされていますので、採択後に評価計画を立てていただく際にご検討いただくこととなります。

資金分配団体、実行団体向けに、社会的インパクト評価の結果が理解できるよう、報告書に必ず含めていただきたい事項を示した「事後評価報告書に含める事項」という資料を休眠預金活用プラットフォームで提供しています。事後評価計画時、報告書作成時にご参考ください。なお、事後評価報告書の書式は自由です。ファイル形式や項目の記載順等は各団体でお決め頂いて構いません。

事業の効率性とは、資金分配団体や実行団体が実施した事業(資金分配団体の場合は実行団体への支援を含む)で、資金や人員等のインプットがアウトプットやアウトカムを生み出すために最適かつ効率的に用いられたかを検証し、資源の有効活用、費用対効果等などについて検証する項目です。国民の資産を原資とし、社会課題の解決やその仕組みづくりを目指した事業であることを踏まえた考え方が重要であり、一般的な効率性の分析をそのまま当てはめるのではなく、インプット(投入されたヒト・モノ・カネ)が適切に使用され、アウトプットやアウトカムを生みだすために活用されたかを検証することを基本におきます。
一般的に効率性の分析として使われる費用便益分析と費用効果分析は、資源配分に有用な情報を提供しますが、分析には一定の専門性が必要です。このため、自己評価ではこうした分析を必須とはしませんが、個々の団体の判断で取り入れていただくのは構いません。またビジネスで用いられるコスト効率の観点のみを当てはめることも、休眠預金等活用制度の性質上、適切ではないと考えます。

今後も社会課題解決のための取り組みを継続的に進めていくうえで、実行団体がどのような役割を果たすことが望ましいのかを、下記のような視点から、事後評価結果を踏まえて記載します。実行団体の事後評価報告書においては、自団体や、地域の誰がどのような役割を果たすことが望ましいのかを記載します。

<記載の視点例>
○実行団体が地域でどのような役割を果たしていく必要があるか
○今後どのような活動や検討が必要か
○地域や関係者との連携強化のためにどのような活動が必要か
○実施体制の工夫、改善はあるか 必要な組織基盤強化はあるか
○活動の財源確保のために必要な活動や検討課題はあるか
○本事業での成果をどのように活用していくことができるか

事業の経験や学びから、将来、他の地域で実施される類似課題への取組みに参考となる具体的な学びや教訓となり得る事項を下記の視点を参考に記載します。個々の事業からの学びが休眠預金活用事業全体のナレッジとなり活用されることが望まれます。
<記載の視点例>
○ 非資金的支援の組み立て方についてどのような戦略・学びがあったか
○ 実行団体の選定方法についてどのような工夫・学びがあったか
○ 実行団体の組織課題の見極めについてどのような工夫・学びがあったか
○ 事業期間中の事務作業の停滞への対応についてどのような工夫・学びがあったか
○ アンケート等調査の実施の難しさへの対応についてどのような工夫・学びがあったか
○ コミュニティ醸成(対象地域での関係者、実行団体間など)においての工夫・学びがあったか
○ 事業の関係者(実行団体、資金分配団体、JANPIA、専門家等)との信頼関係構築にあたっての工夫・学びはあったか
○ 評価の取り組みからの学び
・事前評価時に、捉えている社会課題の構造、直接対象グループやニーズ、事業を取り巻く関係者、ロジックモデルや指標等を見直した過程において、どのような学びがあったのか
・事業中間時点での進捗確認と実施状況の評価をしたことで、どのような改善ができたか
・事後評価時に、設定したアウトカムの評価を行ったことで、どのような学びがあったか
・実行団体の事後評価報告から見えてきた知見や教訓はあるか
○実行団体への伴走支援への工夫や、支援から見えてきた学びはあるか

他の助成種別と同様、短期アウトカムを設定し、評価に取り組んでください。「緊急支援枠」同様、短期支援の場合はアウトプットが成果の中心になると想定されますが、短期アウトカムを目指すことが、より長期的な支援を見据えるために有効と思われますので、短期アウトカムおよびその指標設定の上で事業評価を実施し、復興期以降のサイクルにむけてその評価結果を活用してください。