PwC Japan×SMBCグループ共催「ソーシャルな交流が広がる1Dayプロボノワークショップ」のご紹介 

今回のJANPIAスナップでは、PwC Japan×SMBCグループ共催、JANPIA・ETIC.協力で行われた第二回「ソーシャルな交流が広がる 1Dayプロボノワークショップ」』の様子をお届けします。 

イベント概要

2025年2月22日(土)、PwC Japanグループ(以下、PwC Japan)と株式会社三井住友フィナンシャルグループ(以下、SMBCグループ)は、企業の垣根を越えたコレクティブインパクトの創出を目指し、第二回「ソーシャルな交流が広がる1Dayプロボノワークショップ」を共同で開催。今年度からJANPIAと資金分配団体でもあるETIC.が協力団体として参加しました。 

本イベントは、2023年10月6日(金)にJANPIA主催で実施した 「ボランティア・プロボノマッチング会 第2回成果報告会」でご登壇いただいたPwCあらた有限責任監査法人、SMBC日興証券株式会社の方々が、その場で連携に向けた対話をされたことがきっかけで実施に繋がったものとなります。 

【関連記事】「ボランティア・プロボノマッチング会 第2回成果報告会」を開催!

活動スナップ

△SMBCグループ公式サイトより転載

当日は、「異なる組織による共創によって社会の持続的な変革の体現を目指す」という趣旨に賛同した企業43社から約130名が参加し、20の NPO等の団体が抱えるさまざまな課題に対する解決策の提案が行われました。 
 
参加団体20団体のうち、休眠預金活用事業の採択団体からは、以下の13団体が参加しました。 
 
・認定特定非営利活動法人 キャリアデザイン研究所 
・特定非営利活動法人 ウイズアイ 
・特定非営利活動法人 シングルマザーズシスターフッド 
・特定非営利活動法人 ワーカーズコレクティブういず 
・認定特定非営利活動法人 カタリバ 
・特定非営利活動法人 みんなのコード 
・認定特定非営利活動法人 3keys 
・特定非営利活動法人 WHITE CANVAS 
・一般社団法人 あわらテクノロジー協議会 
・一般社団法人 ころん 
・一般社団法人 merry attic 
・一般社団法人 チョイふる 
・一般社団法人 かけはし 
 
当日の様子は、PwC Japan及びSMBCグループの公式サイトよりご覧いただけます。 

コロナ禍による入国規制の解除後、日本で難民認定を申請する外国人が増えています。申請中で在留資格のない外国人は就労できず、公的支援も受けられないため、生活が困窮し、精神的にも追い詰められる傾向にあります。こうした難民認定申請者や非正規滞在者を支援するため、2023年度の休眠預金活用事業(緊急支援枠、資金分配団体:NPO法人青少年自立援助センター)による緊急人道支援を行っているのがNPO法人アクセプト・インターナショナルです。同団体は国内外で紛争や人道危機、社会的排除などの問題解決に取り組んでいます。今回は、団体の活動やその背景などについて、代表理事の永井陽右さん、国内事業局 局長の吉野京子さんを中心にお話を伺いました。

ソマリアから始まった「平和の担い手」を増やす取り組み

アクセプト・インターナショナルは「誰しもが平和の担い手となり、共に憎しみの連鎖をほどいていく」ことを目指し、世界の紛争地や日本で活動する団体です。2011年、大学1年生だった永井陽右さんは、世界で最も深刻な紛争国の一つとされていたソマリアの惨状を知り、「このまま見過ごしてはいけない」との思いから、仲間とともに活動を開始しました。

当時のソマリアは、頻発するテロや紛争によって貧困や飢餓が深刻化し、2年間で約26万人もの人々が命を落としていました。それにもかかわらず「危険すぎる」「解決策がない」からと、世界から見放されている状況に「そんな理由で支援が届かないのはおかしい」と強く感じた永井さん。「支援が必要とされているのに、難しさを理由に誰も手を差し伸べないのであれば、自分たちがやる」——その決意が活動の原点となっています。

永井さんたちはソマリアのテロや紛争を止めようと、若者が武装組織から抜け出し、社会復帰する支援を開始。2017年にはNPO法人アクセプト・インターナショナルを設立し、イエメンやケニア、インドネシア、コロンビア、パレスチナなど、世界の紛争地へと取り組みを広げていきました。

永井陽右さん(以下、永井)「テロリストの多くは、社会に居場所がないことや生活苦、脅迫などから武器を持たざるを得なかった若者たち。彼らを排除しても負の連鎖は終わりません。私たちが目指すのは、彼らが本来の若者らしく希望を持って生き、私たちと一緒に平和な世界をつくっていくことです」

団体設立の背景についてお話しされる永井陽右さん
団体設立の背景についてお話しされる永井陽右さん

海外での経験を活かし、日本でも「難しくて取り残されている問題」に着手

海外の経験を活かして日本でも「解決の担い手がいない難しい問題」に取り組もうと、2020年からは国内事業も開始。コロナ禍で海外事業の継続が困難になった時期とも重なり、国内の課題にあらためて目を向けるようになりました。現在は主に、非行少年の更生支援と、在日ムスリム(イスラム教徒)を中心とした在日外国人支援の2つの事業を展開しています。

非行少年の更生支援では、とくに社会の受け入れが難しい、重い犯罪に関与した若者の社会復帰を支援。相談支援をはじめ、社会復帰を後押しするための社会定着支援、居住支援、生活支援を実施し、さらに、啓発や教育の一環としてオンラインゼミも開講しています。

在日外国人支援では、日本社会におけるムスリムへの理解不足や文化の違いなどから、在日ムスリムが孤立しやすい現状をふまえ、とくにコロナ禍で生活が困窮している在日ムスリムを支援。現在もイスラム教徒が食べることができる「ハラル食品」の提供や生活相談、在日ムスリムによる共助ネットワークづくりなどを行っています。

「海外事業も日本事業も、つまるところは、課題を抱える当事者が社会の一員として主体的に生きていくための伴走支援。本質は変わりません」と永井さん。海外事業でテロの加害者だった若者と向き合ってきた経験が非行少年の更生事業に、多くのイスラム教徒と活動してきた経験が在日ムスリム支援に活かされるなど、これまでの知見が国内支援でも活かされています。

休眠預金を活用し、行き場のない難民認定申請者に緊急支援を実施

国内に活動を広げる中、コロナ禍が明けると、在日外国人からの相談にある変化が生じます。入国規制の解除にともない日本への入国者数が増え、それに比例して、難民認定申請者や非正規滞在者など在留資格が不安定な外国人からの食料や住居を求める相談が急増しました。それまでは定住している在日外国人からの相談が大半を占めていましたが、相談者も相談内容も大きく変わったのです。長年にわたり難民支援に携わってきた吉野さんは、その背景をこう説明します。

吉野京子さん(以下、吉野)「難民認定申請者は、紛争や迫害などさまざまな事情から逃れる中、たまたま日本の観光ビザを取得して日本へ来たという方がほとんど。入国後に難民申請するものの、その多くは難民認定がおりないまま、在留資格がない状態で日本に留まることになります。在留資格がなければ行政サービスを受けられず、国民健康保険にも加入できず、働くこともできないため、生活は困窮し、路上生活に追いこまれる人も……。収入がなく、行政の支援にもつなげられない彼らを、民間の支援団体や個人だけで支えるのには限界があり、支援から取り残されていたのです」

難民認定申請者が直面する課題や、支援の必要性について説明する吉野京子さん
難民認定申請者が直面する課題や、支援の必要性について説明する吉野京子さん

「これは自分たちがやるべき問題」と判断したアクセプト・インターナショナルは、 NPO法人 青少年自立援助センターが公募していた2023年度緊急支援枠の休眠預金活用事業に申請。これに採択され、難民認定申請者と非正規滞在者に向けた緊急人道支援事業を始めます。具体的には、食料物資の支援や、一時的に住む場所を確保する緊急居住支援、日本語教育、利用できる支援サービスへの橋渡しなどです。また、アウトリーチの手段として、世界で普及しているメッセージングアプリの「WhatsApp」を活用。これにより、支援情報が瞬く間に拡散し、短期間で多くの支援を必要とする外国人にリーチすることができました。

取材時点(2025年1月28日)で、相談登録者は約170名。フードパントリーやWhatsAppを通して相談者のニーズを聞き取り、それぞれが必要とする支援を届けています。イスラム教徒にはハラル食品を、フルーツが必要な人にはパイナップルやミカンなどの缶詰を、自分で料理をしたい人には小麦粉や豆、オイルなどの食材を提供するなど、個々の希望に寄り添った支援を実施。食料以外にも、子どもがいる家庭には成長に合わせた衣服を、女性には生理用品を配るなど、生活状況に応じたきめ細かなサポートを行っています。

吉野「こちらが良かれと思って送った食料でも、相手にとってはそうではないことが何度かありました。そんなときは、『何か別のものが必要だったのかな?』と考えるようにしています。可能な限りどんなものが必要かを聞き取ることで、本当に必要なものを知ることができ、相手も『受け止めてもらえた』と安心してもらえます。その安心感が、信頼につながりますから」

イスラム教徒が安心して食べられる「ハラル食品」の提供を含む食料物資支援を実施
イスラム教徒が安心して食べられる「ハラル食品」の提供を含む食料物資支援を実施

日本語を学びたいというニーズも高く、希望者には週1回、1人30分のオンライン日本語教室を実施。授業を担当するメルテンス甲斐さんは、単なる言語学習にとどまらず、コミュニケーションの場としての役割も大切にしています。

メルテンス甲斐さん「家族友人と遠く離れ、コミュニティから隔絶された生活を送る受講者にとって、授業は人とつながることのできる数少ない機会です。雑談を交えたり、生活相談を受けたりすることで、少しでも孤立感の解消につながればと思っています」

一方、「相談を待つだけでなく、こちらから能動的にアプローチすることも大切」と話すのは、食料物資支援を担当する冨山里桜さん。 

冨山里桜さん「相談者の中には、特にムスリマ(イスラム教徒の女性)のように、宗教的な背景や文化的な要因、周囲に頼れる人が少ないことなどから、支援を必要としていても声をあげられないケースもあります。実際、WhatsAppで連絡がつかないので訪問してみると、電気もガスも止まっていたという母子家庭のケースがありました。そうした方たちも取り残さないよう、こちらからこまめにコンタクトを取ることでフォローし、支援につなげるようにしています」

社会参加を通じて未来を切り開く支援のかたち

日本では難民認定率が低く、多くの難民認定申請者が中長期の展望を持ちにくい状況にあります。そんな中、「今回の事業では、まずは緊急支援として、難民認定申請者が人間として最低限の尊厳を保てることを第一の目標にしています」と吉野さん。その上で、専門家と連携し、相談者自身も交えて中長期的なプランを話し合い、日本で安定した生活を送るための法的支援も行っているそうです。また、在留資格がない外国人の子どもでも学校に通える制度を活用し、自治体と交渉して就学機会を確保するなど、今できる支援を重ねながら希望をつなげています。

こうした相談者のニーズを満たす支援だけでなく、相談者の主体性を促すはたらきかけも大切にしています。例えば、ガーナ人の青年に「公園で寝て過ごしているなら、うちへ来たら?」と事務所に誘ったところ、メンバーと一緒に食料物資支援の整理や荷物運びをするように。最初はほとんど口をきかなかったのが、今やアクセプト・インターナショナルの頼もしいメンバーになっているのだそうです。

永井「ボランティアでも小さいことでも、社会に参加することに大きな意義があります。困難な状況にある彼らだからこそ、できることがたくさんあるはず。その可能性に光を当て、引き出していくことも私たちの役割です。彼らが参加できる場をたくさんつくって、新たなステップにつながる機会を少しでも多く提供していきたいですね」


ホームレス状態にある人々への食料支援の様子
ホームレス状態にある人々への食料支援の様子

休眠預金活用事業をきっかけに生まれた3団体の連携

アクセプト・インターナショナルがこの事業を通じて得られた大きな成果の一つが、団体同士の連携です。同時期に休眠預金活用事業の実行団体として採択されたのを機に、Mother’s Tree Japan、つくろい東京ファンドの2団体とつながり、思いがけない強力な支援ネットワークが生まれました。例えば、路上生活をしていたムスリマの妊婦のケースでは、Mother’s Tree Japanが出産可能な病院を探し、イスラム教の文化に配慮して女医を手配。つくろい東京ファンドが居所を確保し、アクセプト・インターナショナルがハラル食品の提供を実施しました。各団体の専門性を活かした支援が迅速に展開され、適切なサポートを提供することができたのです。

吉野「自分たちが不得意なところは、得意な団体にお任せする大切さを改めて学びました。今も3団体で情報を共有しながら、連携を深めています」

「後進の育成」も今回の事業を通じて得られた大きな成果です。日本では難民支援の経験者が少ない中、今回の事業を通して若手メンバーが多様なケースを経験し、実践を積む機会を得ました。

吉野「若手メンバーが現場での経験を重ねることで、知識やノウハウをしっかり継承できました。今では、自ら判断し行動できるまでに成長し、今後のさらなる支援につながると期待しています」

アクセプト・インターナショナルは事業終了後も、当事者が中長期の展望を持てるよう、可能な限りバックアップを継続。「平和の担い手を増やす」活動として、テロ・紛争に関わる若者を保護する活動に加え、在日ムスリムのネットワーク強化など、国内外の活動に引き続き力を入れていきます。

永井「私は、テロリストも非行少年も、在日ムスリムも難民もみんな、社会の担い手、平和の担い手になれると心から思っています。これからも彼らに伴走し、その可能性を探り続けていくとともに、まだアプローチできていない『解決の担い手がいない難しい問題』にもチャレンジしていきます」


取材に対応してくださった、アクセプト・インターナショナルのメンバー。左から冨山さん、吉野さん、永井さん、メルテンスさん
取材に対応してくださった、アクセプト・インターナショナルのメンバー。左から冨山さん、吉野さん、永井さん、メルテンスさん

■資金分配団体POからのメッセージ
アクセプト・インターナショナルの強みは、「難しい問題こそ自分たちがやる」という高いプロフェッショナル意識と、海外で培った独自のノウハウにあると考えています。今回その強みを活かし、既存の支援団体では対応が難しかった在留資格が不安定な在日外国人への支援が可能になりました。また、私たちが資金分配団体を務めるにあたり重視していたのが、団体同士のつながりです。実際に実行団体間の連携が生まれ、情報共有も進んだことは、大きな成果の一つです。今後さらに、さまざまな強みを持つ団体同士の連携が進み、支援の輪が広がることを願っています。

(NPO法人 青少年自立援助センター YSC Global School/浅倉みさきさん)

【事業基礎情報】

実行団体
特定非営利活動法人 Accept International
事業名

難民認定申請者及び非正規滞在者への緊急人道支援事業(2023年度緊急支援枠)

活動対象地域
東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県
資金分配団体
特定非営利活動法人 青少年自立援助センター

採択助成事業

急増する「海外にルーツを持つ子育て家庭・若者・困窮者」緊急支援事業

東京都足立区で、地域から孤立している生活困窮子育て家庭に対し、食糧支援や「子ども食堂」の運営などを行っている一般社団法人チョイふる。“生まれ育った環境に関わらず、全ての子ども達が将来に希望を持てるchoice-fulな社会を実現する”ことを目的に、活動しています。2022年に採択された休眠預金活用事業(緊急支援枠、資金分配団体:特定非営利活動法人Learning for All)では、居場所事業「あだちキッズカフェ」の拡充に取り組んできました。今回は、代表理事の栗野泰成さんと、居場所事業を担当している井野瀬優子さんに、団体の活動についてお話を伺いました。”

代表理事の原体験が、チョイふるを立ち上げるきっかけに

一般社団法人チョイふる(以下、チョイふる)は、社会経済的に困難を抱える子どもたちが「チョイス」(選択肢)を「ふる」(たくさん)に感じられる社会をつくりたい、という思いを込めて設立されました。立ち上げのきっかけとなったのは、代表理事の栗野さんの原体験です。栗野さんが育ったのは、鹿児島県の田舎の市営団地。大学進学に悩んでいた頃、新聞配達をすると学費が免除される新聞奨学金制度の存在を知りますが、知ったときにはすでに申し込みの期限を過ぎていて申し込みができなかったと言います。

栗野泰成さん(以下、栗野)「あのとき、『もっと早くに知っていれば』と思ったことが今の活動に結び付いています。困窮者世帯への支援制度はたくさんあるのですが、本当に困難を抱える人ほど必要な支援が届いていないのではないかと考えています。この『選択格差』を解消することが貧困問題を解決する一つの手段ではないかと考えるようになりました」

オンラインの取材でお話される栗野泰成さん

当時の思いを胸に、大学卒業後、小学校教員・JICA海外協力隊での教育現場を経て、栗野さんは2018年に任意団体を立ち上げます。当初は英語塾を運営していましたが、それでは支援を必要としている人に届かないと気づきます。

そこで、2020年に、食糧を家庭に届けるアウトリーチ(訪問支援)型の活動「あだち・わくわく便」と、親子に第3の居場所を提供する活動「あだちキッズカフェ」をスタート。その後、コロナ禍に入ってしまったため、「あだちキッズカフェ」は一時休止しますが、「あだち・わくわく便」の需要は高まっていきます。

そして、2021年に法人化し、一般社団法人チョイふるを設立。現在は、宅食事業「あだち・わくわく便」、居場所事業「あだちキッズカフェ」に加え、困窮者世帯を支援制度へと繋げる相談支援事業「繋ぎケア」の主に3つの事業を行っています。

孤立しがちな困窮子育て世帯とつながる 宅食事業

現在、チョイふるの活動の軸となっているのが、宅食事業「あだち・わくわく便」です。対象となっているのは0〜18歳の子どもがいる家庭で、食品配達をツールに地域から孤立しがちな困窮子育て家庭と繋がる活動をしています。

栗野「宅食事業を始めた頃は、シングルマザーの支援団体に情報を流してもらったり、都営団地にポスティングしたりと地道に活動していました。最初、LINEの登録は10世帯ほどでしたが、口コミで広がったことに加え、コロナ禍になったこともあり、登録世帯数が一気に増加。今では足立区からも信頼を得ることができ、区からもチョイふるの案内をしてもらっています」

現在のLINEの登録数は約400世帯。食品配達は月に1回か2ヶ月に1回、各家庭に配達するか、フードパントリーに取りに来てもらう場合もあります。また、配達をする際は「見守りボランティア」と呼ばれる人が、それぞれの子育て家庭に直接お届けし、会話をすることで信頼関係を築いています。

栗野「食品の紹介や雑談などから始まり、子どもの学校での様子を聞いたり、困りごとがなさそうかなど確認したりしています。次回の配達時にも継続的に話ができるよう、訪問時の様子は記録もしています」

つながりづくりから居場所づくりへ

コロナ禍では「あだち・わくわく便」をメインに活動してきたチョイふる。貧困家庭と繋がることはできましたが、そこから適切な支援に繋げるための関係構築を難しく感じていました。そこで、新型コロナウイルスの流行が少し落ち着いてきたタイミングで、居場所事業「あだちキッズカフェ」を再開します。

「あだちキッズカフェ」は、子ども食堂に遊びの体験をプラスした、家でも学校(職場)でもないサードプレイスをつくり、困窮子育て家庭を支える活動。こうした「コミュニティとしての繋がり」が作れる活動は、民間団体ならではの強みだと栗野さんは話します。

栗野「足立区は、東京都の中でも生活保護を受けている世帯数が多い地域です。区としても様々な施策に取り組んでいますが、行政ならではの制約もあります。たとえば、イベントを開いたとしても、時間は平日の日中に設定されることが多いですし、開催場所も公民館など公共の場が基本になります。一方で、僕たち民間団体は、家庭に合わせて時間や場所を設定することができます。行政と民間はできることが違うからこそ、僕たちの活動に意味があると思うんです」

あだちキッズカフェの様子

「あだちキッズカフェ」の取り組みに力を入れ始めたチョイふるは、2022年度の休眠預金活用事業に申請。これに無事採択されると、これまで「あだちキッズカフェ」があった伊興本町と中央本町の2か所の運営体制を強化するとともに、千住仲町にも新設しました。

実際の「あだちキッズカフェ」では、お弁当やコスメセットの配布などを行い、子どもたちの居場所利用を促進。月2回実施している子ども食堂と遊びの居場所支援のほか、イベントも含めると67 人の子どもが参加しました。特に伊興本町の居場所にはリピーターが多く、子どもたちの利用が定着してきています。

栗野「とはいえ、『あだち・わくわく便』は400世帯が登録してくれているのに対し、『あだちキッズカフェ』の利用者は67人とまだまだ少ない。子どもだけで『あだちキッズカフェ』に来るのが難しかったり、交通費がかかったりするなど、様々な課題があると感じています」

休眠預金を活用し、社会福祉士を新たに採用

「あだちキッズカフェ」拡充のため、さまざまなところで休眠預金を活用してきましたが、なかでも一番助かったポイントは「人件費として使えたこと」だと井野瀬さんは話します。

井野瀬優子さん(以下、井野瀬)「『あだちキッズカフェ』常勤のスタッフを数人と、社会福祉士を4人採用しました。助成金の多くは人件費として活用できないので、本当にありがたかったです。常勤のスタッフがいると『いつもの人がいる』という安心感にも繋がりますし、社会福祉士にはLINEを通じて相談者とやり取り してもらうことで距離が近づき、『あだちキッズカフェ』の利用促進につながりました」

「あだち・わくわく便」の利用者には「あだちキッズカフェ」に行くのを迷っている人が多く、社会福祉士とのやり取りが利用を迷う人の背中を押しました。そのやり取りも、「『あだち・わくわく便』はどうでしたか?」といった会話からスタートし、他愛もない会話をするなかで困りごとを聞いたり、無理のないように「あだちキッズカフェ」に誘ったりしています。

オンライン取材で現場の様子を伝えてくださった井野瀬優子さん

また、DV被害に遭ったという母子が来た際には、スタッフに同じような経験をした当事者がいたため、経験者ならではの寄り添った対応ができました。

井野瀬「これまでであれば、ボランティアとして限られた時間しか関われなかったかもしれません。今回はそこに、きちんとお金を割くことができたので、居場所をより充実させることができました。来てくれる子どもたちが増えるのはもちろん、何度も来てくれる子の小さな成長が見られる瞬間もとてもうれしいですね」

伴走者がいることで、課題を把握できた

チョイふるは、2023年8月に休眠預金活用事業を開始し、2024年2月末に事業を完了しました。休眠預金活用事業では資金面以外に、資金分配団体のプログラム・オフィサー が伴走してくれる点も、事業を運営していくうえで助けになったと話します。

栗野「普段は日々の活動でいっぱいいっぱいなので、月1で振り返る機会を設けてもらったのがよかったですね。一緒にアクションプランを立てたり、“報連相”が課題になっていると気づいたりすることができました。第三者の目があることの大切さを痛感しました」

事業は終了しましたが、その後も取り組みの内容は変わらずに、「あだち・わくわく便」の提供量を増やしたり、「あだちキッズカフェ」の数を増やしたりといったことに注力しており、そのために、ほかの団体との連携も広げています。

栗野「10代の可能性を広げる支援を行っているNPO法人カタリバと月1回の定例会議を行い、情報交換をしています。ほかにも、医療的ケア児や発達の特性の強い子どもを支援している団体などと組んで、ワンストップの総合相談窓口を作ろうと動いているところです。資金確保は今後も課題になると思うので、寄付やクラウドファンディング、企業との連携などにも挑戦していきたいですね」


「選択肢の格差」が貧困を作り出し、抜け出せない状況を作っていると考える栗野さん。チョイふるはこれからも、その格差を少しでもなくすために貧困家庭への支援を続けていきます。

【事業基礎情報】

実行団体
一般社団法人チョイふる
事業名

子育て世帯版包括支援センター事業

活動対象地域
東京都足立区 ①伊興本町(居場所1拠点目) ②中央本町(居場所2拠点目) ③千住仲町(居場所3拠点目)
資金分配団体
特定非営利活動法人Learning for All

採択助成事業

2022年度緊急支援枠

JANPIAは2023年12月1日、日本財団主催の「アジア・フィランソロピー会議 2023」の中で、「多様な「はたらく」、「まなぶ」の意思を尊重、機会創出の実現へ! ~休眠預金活用事業の事例から~」というセッションを企画・発表しました。「アジア・フィランソロピー会議」は、アジア地域におけるフィランソロピー活動に焦点を当てた国際的な会議で、今回のテーマは、 DE&I(多様性、公平性、包括性)。JANPIAのセッションでは、今回のテーマに関わる事業に取り組まれている実行団体の代表者と、休眠預金活用事業の可能性などについて対話しました。

活動概要

2023年12月1日、公益財団法人 日本財団の主催による「アジア・フィランソロピー会議」が、ホテル雅叙園東京にて開催されました。2回目の開催となる今回は、「DE&I(多様性、公平性、包括性)」(※1)をテーマとし、社会課題の解決に取り組む財団をはじめとしたアジアのフィラソロピーセクターのリーダーが一堂に会し、各セッションに分かれ様々な議論が行われました。
同会議のパラレルセッション4にて、JANPIAは、『多様な「はたらく」、「まなぶ」の意思を尊重、機会創出の実現へ!~休眠預金活用事業の事例から~』と題し、休眠預金活用事業の事例を紹介しました。
セッション4の様子は、動画と記事でご覧いただけます。



※1:「DE&I」は、Diversity(ダイバーシティ、多様性)、Equity(エクイティ、公平性)、Inclusion(インクルージョン、包括性)の頭文字を取った略称。

活動紹介

休眠預金活用事業説明(JANPIA)

はじめに、JANPIA 事務局長の大川より、休眠預金活用事業の紹介と今回のセッションの説明をしました。 「休眠預金等活用法よりJANPIAが2019年に指定活用団体に選定されて以来、全国で1,000を超える実行団体が休眠預金を活用し、社会課題の解決に取り組んでいます。今回は、その中から、今回の会議のテーマに合った事業に取り組まれている団体の代表者をお招きしました。会場やオンラインの皆様含めて、様々な観点から意見交換できたらと思います。」

▲JANPIA 事務局長 大川
  資料〈PDF〉|休眠預金活用事業説明|JANPIA[外部リンク]

各団体の取り組み

[1]一般社団法人 ローランズプラスの事例紹介

株式会社ローランズ 代表取締役 / 一般社団法人 ローランズプラス 代表理事 福寿 満希氏

福寿:私たちは東京都の原宿をメイン拠点としながら、花や緑のサービスを提供している会社です。特徴的なのは、従業員80名のうち7割の約50名が、障害や難病と向き合いながら働いているということです。私たちは、「排除なく、誰もが花咲く社会を作る」をスローガンとしており、Flower&Green事業、就労継続支援事業、障害者雇用サポート事業の大きく3つの活動を行っています。

▲ローランズプラス 福寿氏

休眠預金活用事業には、過去に3回採択されています。1つ目の「障害者共同雇用の仕組み作り」という事業(2)は、READYFOR株式会社が資金分配団体で、新型コロナウイルス対応緊急支援助成で採択されました。コロナ禍により、障害当事者の方たちの失業率が高まり、特に中小企業での雇用維持が大変でした。1社だけでは雇用が難しいため、例えば10企業でグループを作り、グループ全体で仕事をつくり、雇用を生み出していきましょうという仕組みづくりです。この事業によって30名程の新しい雇用が生まれ、助成終了後の今も、自走してしっかり回っている状態になっています。 


2つ目は、「花を通じた働く人のうつ病予防project」事業(※3)です。資金分配団体は、特定非営利活動法人 こどもたちのこどもたちのこどもたちのために 様で、花を通してうつ病を予防していくという取り組みです。企業の花を通じたウェルネスプログラムとして、会社から従業員に対して、10分割できる花をプレゼントし、10人に「ありがとう」を伝える機会をプレゼントします。ある調査では、「ありがとう」の言葉は、伝える側の方が幸福度が高くなるというデータが出ています。「ありがとう」の伝えることの重要性を知り、求めるのではなく、自発的にその言葉を伝えていければ、幸福度が高まる機会が増え、結果的にうつ病が予防されていく仕組み作りに挑戦しています。3年間で4千人へアプローチすることを目標に取り組んでいます。


3つ目は、資金分配団体である株式会社トラストバンク 様と取り組んでいる「地域循環型ファームパーク構築」事業(※4)です。神奈川県横須賀市で花の生産と体験型農業(ファームパーク)の運営を行うことで、地域の障害当事者の就労機会を創ることに取り組んでいます。慣れ親しんだ地域に仕事を作り、障害当事者が地元で活き活きと働き、その対価を得ながら地域循環の元で生活をしていけるモデルを作ろうとしています。横須賀地域の福祉団体と連携して、福祉団体から採用していくという流れをとっています。先ずは横須賀で形をつくり、そこから、その他の地域循環モデルが広がっていったら良いなと思い取り組んでいます。

▲ローランズプラス 福寿氏 当日資料より

※2:2020年度 緊急枠 「ウィズコロナ時代の障がい者共同雇用事業」
(資金分配団体:READYFOR株式会社)【関連記事】ウィズコロナ時代の障がい者共同雇用

※3:2022年度 通常枠 「植物療法を通じた働く人のうつ病予防プロジェクト」
(資金分配団体:特定非営利活動法人 こどもたちのこどもたちのこどもたちのために〈イノベーション企画支援事業〉)

※4:2022年度 通常枠 「障がい当事者が活躍できる地域循環型ファームパーク構築事業」
(資金分配団体:株式会社トラストバンク〈ソーシャルビジネス形成支援事業〉)

[2]認定NPO法人 グッド・エイジング・エールズの事例紹介

認定NPO法人 グッド・エイジング・エールズ 代表 松中 権氏

松中:まず「プライドハウス東京」というプロジェクトについてご説明します。まだまだ社会の中にはLGBTQ+(※5)の方への差別偏見があり、孤独感を感じている方も少なくありません。そこで、性的マイノリティの方々が横で繋がったり、安心・安全に訪れることができる場所をつくろうという取り組みが、「プライドハウス東京」です。2023年11月現在、31の団体・専門家、32の企業、19の駐⽇各国⼤使館などと連携して取り組んでいます。

▲グッド・エイジング・エールズ 松中氏

【関連記事】

世界でいちばんカラフルな場所を目指して!| グッド・エイジング・エールズ 松中権さん × エッセイスト 小島慶子さん【聞き手】

「プライドハウス東京」設立プロジェクトは、特定非営利活動法人エティックが資金分配団体を務める事業で採択され(※6)、当初は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の時期に合わせて期間限定の場所をつくり、その後、2022年頃に常設の大型のセンターを造ろうという計画でした。

しかし2020年に緊急アンケートを行ったところ、新型コロナウイルス感染拡大の影響でLGBTQ+の若者が大変な状況にあるということが分かってきました。実は、73.1%の方々が、同居人の方との生活に困難を抱えていることが分かりました。また、36.4%のLGBTQ+の若者が、コロナ禍でセクシュアリティについて安⼼して話せる相⼿や場所との繋がりを失ってしまったと回答しました。この緊急アンケートによって明らかになった「居場所のニーズ」により、当初の計画を前倒しし、2020年の秋、常設のセンターを開設することになりました。

LGBTQ+に関する様々な調査の中で、政府も調査していることの一つが自殺の事です。政府が自殺対策の指針として定める「自殺総合対策大綱」によると、性的マイノリティはハイリスク層と言われています。そうした方々が、安心・安全に集えるようなコミュニティスペースが、「プライドハウス東京レガシー」です。また、休眠預金を活用した事業が動き出したことによって、「プライドハウス東京」に関する高い信頼が得られ、翌年には厚生労働省の自殺対策(自殺防止対策事業)の交付金を受けることになりました。自殺対策の相談窓口は電話やSNSが多いですが、「プライドハウス東京レガシー」では、対面型の相談サービスを提供しています。2023年11⽉現在の来館者数は、延べ1万人を超えたというところです。



※5:LGBTQ+…レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランジェンダー、クエスチョニング(自分の性別や性的指向に疑問を持ったり迷ったりしている人)/ クィア(規範的な性のあり方に違和を感じている人や性的少数者を包摂する言葉)の英語表記の頭文字を並べ、LGBTQだけではない性の多様性を「+」で表現している。

※6:2019年度 通常枠
「日本初の大型総合LGBTQセンター「プライドハウス東京」設立プロジェクト」
(資金分配団体:特定非営利活動法人エティック(子どもの未来のための協働促進助成事業))


パネルセッション

続いて、JANPIA 加藤の進行により、パネルセッションが行われました。本セッションでは、お互いの発表に対する意見交換から始まり、続いて今回のテーマである「DE&I(多様性、公平性、包括性)」について、そして最後に、休眠預金活用事業への期待や展望について、登壇者の二人からお話を伺いました。

登壇者:

・株式会社ローランズ 代表取締役 / 一般社団法人ローランズプラス 代表理事 福寿 満希氏
・認定NPO法人グッド・エイジング・エールズ 代表 松中 権氏

司会:

一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA)
企画広報部 広報戦略担当 加藤 剛

▲JANPIA 企画広報部 加藤

休眠預金の活用について、福寿氏は、「やりたかったけれどもやれていない事業や、やったら絶対に意義があると思っているけど、資金的・人的リソースが足りず、なかなか挑戦できない新規の事業で申請することが多かった」「障害者手帳をお持ちではないグレーゾーンの方もいらっしゃったりするので、そのような制度に引っ掛からない方たちにも支援が届けられたらと思った」と語りました。グッド・エイジング・エールズの松中氏は、「一般的な助成だと一番大切な居場所をつくるための家賃や人件費がサポートいただけないことが多かったので、休眠預金を知ったときは、これだったら居場所がつくれるのではないかと思い、申請した。常勤のスタッフが安心して働けるからこそ、新しいプロジェクトや寄付金が集められる」と続けました。また、お互いの活動について、松中氏は、「是非、連携させていただきたいと思った」と、今後の事業連携の可能性について盛り上がりました。

今回のテーマ『DE&I~すべての人々が自分の能力を最大限に発揮できる社会を目指して~』について、松中氏は、「LGBTQ+の当事者の若者が、卒業後に働く現場の一つとして、これらのコミュニティに関わるとか、企業のDE&Iに関わる部署への配属を希望できるようになるなど、卒業後にDE&Iを仕事としていくことが想像できるようになると良いなと考えている」と回答。また、福寿氏は、「障害者手帳もそうだが、名称の括りがあると、何か特別なものように思ってしまいがちなので、たまたま障害当事者のために業務を分かり易くしたところ、結果としてそれが同じ拠点で働くみんなのためにもなったといったように、障害者雇用が特別なものではない社会になったら良いなと思って取り組んでいる」と答えました。

また、休眠預金活用事業への期待や展望について、松中氏は、「取り組みの地域格差をどれくらい埋められるかというのが課題だと思っている。例えば、LGBTQ+センターは東京だけではなく、全国各地にあった方が良いと考えるが、地域によっては資金分配団体がなかったり、あったとしても掲げるテーマからなかなか採択に至るのは難しい状況もある。もっと全国各地の団体が参画しやすい仕組みになれば良いなと思う」と話しました。福寿氏は、「通常枠は約3年だが、自走できる仕組みづくりには時間がかかり、形ができてやっと活動を拡げるという手前で事業が終了してしまうので、拡がりが期待できる事業に対しては、ネクストチャレンジのような仕組みがあったら良いなと思う。有難いことに3つの事業で採択していただいており、現在2事業が実施中だが、どれも休眠預金が無ければ挑戦できなかった事業。社会課題の解決を後押ししてくれる制度なので、是非活用する事業者の方が増えていったら嬉しい」と話しました。

最後に、JANPIA 事務局長の大川より挨拶があり、「今日の学びを制度全体の発展にも活かせるよう、私どもJANPIAもしっかり取り組んで参りたい」と、このパネルセッションを締め括りました。

登壇者の皆さん

左から、JANPIA事務局長 大川・JANPIA 加藤・ローランズ 福寿さん・ グッド・エイジング・エールズ 松中さんです。

【1】事業基礎情報

実行団体一般社団法人 ローランズプラス
事業名ウィズコロナ時代の障がい者共同雇用事業
活動対象地域全国
資金分配団体READYFOR株式会社
採択助成事業新型コロナウイルス対応緊急支援事業
〈2020年度緊急支援枠〉

【4】事業基礎情報

実行団体特定非営利活動法人グッド・エイジング・エールズ
事業名日本初の大型総合LGBTQセンター「プライドハウス東京」設立プロジェクト
-情報・支援を全国へ届ける仕組みを創り、
LGBTQの子ども/若者も安心して
暮らせる未来へー
活動対象地域東京都、及び全国
資金分配団体特定非営利活動法人エティック
採択助成事業子どもの未来のための協働促進助成事業
ー不条理の連鎖を癒し、皆が共に生きる地域エコシステムの共創ー
〈2019年度通常枠〉

【5】事業基礎情報

実行団体特定非営利活動法人グッド・エイジング・エールズ
事業名LGBTQ中高齢者の働きがい・生きがい創出
活動対象地域全国
資金分配団体READYFOR株式会社
採択助成事業新型コロナウィルス対応緊急支援事業
ー子ども・社会的弱者向け包括支援プログラムー
〈2020年度新型コロナウィルス対応緊急支援助成〉

【2】事業基礎情報

実行団体一般社団法人 ローランズプラス
事業名植物療法を通じた働く人のうつ病予防プロジェクト
-花のチカラでうつ病発症を食い止めるー
活動対象地域東京都
資金分配団体特定非営利活動法人 こどもたちのこどもたちのこどもたちのために
採択助成事業うつ病予防支援 〜東京で働く人をうつ病にさせない〜
〈2022年度通常枠〉(イノベーション企画支援事業)

【3】事業基礎情報

実行団体一般社団法人 ローランズプラス
事業名障がい当事者が活躍できる地域循環型ファームパーク構築事業
ー障がい当事者が地域経済に参画することで、新しい社会包摂モデルを構築するー
活動対象地域神奈川県横須賀市
資金分配団体株式会社トラストバンク
採択助成事業地域特産品及びサービス開発を通じた、
地域事業者によるソーシャルビジネス形成の支援事業
〈2022年度通常枠(イノベーション企画支援事業)

今回のJANPIAスナップでは、休眠預金活用事業POギャザリング2023の開催の様子をお届けします。

活動の趣旨

休眠預金を活用し、全国各地で社会の諸課題の解決を目指す資金分配団体のPOをはじめとした休眠預金活用事業の関係者のヨコの繋がりをつくる機会として、コロナ禍でなかなか実現されなかった対面での交流の場を「休眠預金活用事業POギャザリング2023」として実現しました。”社会課題の解決に向けて一緒に議論できる仲間ができる。””団体や地域を超えて、相談できる同志ができる。”ことなどを目的に様々な交流企画やセッションを実施いたしました。

当日は資金分配団体のPOを中心に参加者74名、ご登壇者25名の総勢99名の方に会場に集まりました。

当日の様子

オープニングセッションの様子 「休眠預金活用事業って、ざっくり言うと、どうだった?」
オープニングセッションの様子 「休眠預金活用事業って、ざっくり言うと、どうだった?」
セッション中のグループワーク 事後アンケートでは、もっとワークの時間が欲しかったとの声もありました。
セッション中のグループワーク 事後アンケートでは、もっとワークの時間が欲しかったとの声もありました。
企画もありましたが、お昼の時間も自然に会話が弾んでいました。 名刺交換も活発で、50名以上と名刺交換された方もいらっしゃいました。
企画もありましたが、お昼の時間も自然に会話が弾んでいました。 名刺交換も活発で、50名以上と名刺交換された方もいらっしゃいました。
クロージングセッションの様子 「休眠預金活用事業への想いや活動を10年先に届けるために」
クロージングセッションの様子 「休眠預金活用事業への想いや活動を10年先に届けるために」
集合写真
集合写真
オープニングセッションとクロージングセッションに関してはグラフィックレコーディングを行っていただきました。(ご協力:グラレコ奈美 さん)
オープニングセッションとクロージングセッションに関してはグラフィックレコーディングを行っていただきました。(ご協力:グラレコ奈美 さん)
休眠預金活用事業POギャザリング パンフレット
休眠預金活用事業POギャザリング パンフレット

JANPIAでは今後も「誰ひとり取り残されない社会への触媒となる」ことを目指し、今回のようなギャザリングなどイベントを企画していきます。
ご参加、ご協力いただきました皆さま、誠にありがとうございました。

今回のJANPIAスナップは、JANPIA主催「休眠預金活用事業シンポジウム2023 -ともに創る未来:伴走支援から生まれる社会の変化と担い手の成長」「公募説明会」の様子をお届けします。

活動概要

2023年11月16日(木)、JANPIAは、「休眠預金活用事業シンポジウム2023 -ともに創る未来:伴走支援から生まれる社会の変化と担い手の成長」「公募説明会」を開催しました。

初回採択事業である2019年度事業の事例をもとに、伴走支援を始めとした団体間の連携から生まれた、社会課題へのアプローチの成果や事業実施団体の成長についてお話を伺ったほか、「休眠預金活用事業のこれから」と題し、休眠預金活用事業方針等についての説明を行いました。
また、後半では、2023年度 通常枠〈第2回〉および「原油価格・物価高騰、子育て及び新型コロナ対応支援枠」の公募説明会を実施しました。

当日は、資金分配団体・実行団体の皆さまをはじめ、申請をご検討されている団体や、企業、自治体、ソーシャルセクターの皆さまからのお申し込みを頂きました。ご参加・ご視聴いただいた皆さま、ありがとうございました。

活動スナップ

JANPIAからの挨拶

JANPIAからの挨拶 JANPIA 理事長 二宮 雅也



 動画〈YouTube〉|JANPIAからの挨拶[外部リンク]

基調講演

基調講演  国際社会経済研究所(IISE)理事長/JANPIA 評議員 藤沢 久美氏



 動画〈YouTube〉|基調講演 [外部リンク]

トークセッション

〈Part1〉

「地域支援と地域資源連携事業」を実施して(2019年度通常枠)

【登壇者】

[資金分配団体]
 公益財団法人 長野県みらい基金 理事長 高橋 潤氏[上段、右]

[実行団体]

 特定非営利活動法人 いいだ人形劇センター 事務局長 木田 敬貴氏[上段、左]

[モデレーター]
 武蔵野大学 人間科学部 社会福祉学科 助教 清水 潤子氏[下段]


  動画〈YouTube〉|トークセッション| Part1 [外部リンク]

  資料〈PDF〉|公益財団法人 長野県みらい基金 [外部リンク]
  資料〈PDF〉|特定非営利活動法人 いいだ人形劇センター [外部リンク]



〈Part2〉

  休眠預金活用事業を通じて生まれた個と組織の成長

[登壇者]

・認定特定非営利活動法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ 理事 三島 理恵氏[上段、左]
・一般財団法人 ちくご川コミュニティ財団 理事/事業部長 庄田 清人氏[上段、右]

[コメンテーター]

  武蔵野大学 人間科学部 社会福祉学科 助教 清水 潤子氏[下段、右]

[進行]
  JANPIA 事業部長 和田 泰一[下段、左]

動画〈YouTube〉|トークセッション | Part2 [外部リンク]

質疑応答

動画〈YouTube〉|質疑応答 [外部リンク]

休眠預金活用事業のこれから

事務局説明  JANPIA 事務局長 大川 昌晴



  動画〈YouTube〉|休眠預金活用事業のこれから [外部リンク]

  資料〈PDF〉|休眠預金活用事業のこれから [外部リンク]

公募説明会

※2023年度 通常枠〈第2回〉および「原油価格・物価高騰、子育て及び新型コロナ対応支援枠」について

事務局説明  JANPIA 事務局長 大川 昌晴
動画〈YouTube〉|公募説明会 [外部リンク]

資料 ①〈PDF〉|5年後の見直し方針を踏まえた事業計画のポイント [外部リンク]

資料 ②〈PDF〉|2023年度 通常枠〈第2回〉公募要領[外部リンク]
資料 ③〈PDF〉|原油価格・物価高騰、子育て及び新型コロナ対応支援枠[外部リンク]
資料(参考)〈PDF〉|国外活動を対象とする場合の留意点[外部リンク]
資料(参考)〈PDF〉|事業設計図補足資料[外部リンク]

当日スナップ写真

登壇者の皆さん

シンポジウム終了後に、登壇者の皆さんで集合写真を撮影しました。
左から、長野県みらい基金 高橋さん、全国こども食堂支援センター・むすびえ 三島さん、ちくご川コミュニティ財団 庄田さん、いいだ人形劇センター 木田さん、武蔵野大学 清水さんです。

司会者/配信スタッフの皆さん

[司会]南 恭子 さん[左]

[配信スタッフ]ZAN FILMSの皆さん[右]


今回のセミナーは、ご登壇頂いた皆さまはもとより、司会者の南 恭子さん、配信スタッフのZAN FILMSの皆さん、会場となった日比谷国際ビル コンファレンス スクエアの皆さんとの連携で実現しました。この場を借りてお礼申し上げます。

今回の活動スナップは、JANPIAが主催した開催した「データ集を読む会」の様子をお届けします。

活動概要

JANPIAでは年に1回、事業報告書と合わせて付属資料としてのデータ集を発行しています。また、2023年11月には休眠預金活用事業を実施した・している団体の事業情報が検索できるサイト(休眠預金活用事業 情報公開サイト)を公開しました。
今回のイベントでは、公開されている情報の価値や活用方法について、非営利セクターやメディア、研究者の方とJANPIAの職員と一緒にアイディアを出し合うワークショップなどを行いました。

活動スナップ

前半は、JANPIA企画広報部長の芥田より、休眠預金活用事業の概要紹介や会の趣旨説明がありました。
その後、参加者同士で自己紹介を行ったあと、データ集と情報公開サイトの紹介、そして休眠預金活用事業のデータに関わるクイズを行いました。

企画広報部長の芥田より開会の挨拶
企画広報部長の芥田より開会の挨拶
出題されたクイズの1例(回答は記事の最後をご覧ください)
出題されたクイズの1例(回答は記事の最後をご覧ください)

後半は、モジョコンサルティング合同会社 長浜 洋二氏の全体進行の元、4つのグループに分かれて、公開されている情報の活⽤⽅法と、今後の改善に向けた様々なご意見をいただきました。
代表的なものとして、
・加工しやすいフォーマットでの情報公開
・白書の作成
・国際比較
・社会課題の解説との組み合わせ
といったご意見がありました。

グループワークの様子
グループワークの様子

JANPIAでは、いただいたご意見を踏まえ、関係者と連携しながら、今後の情報公開に活かしていければと考えております。

参加者全員で記念撮影
参加者全員で記念撮影

クイズの回答:②約50% (※イベント開催時点の公開情報に基づきますと、NPO 法人が全体の 41.8%で、認定 NPO 法人(8.0%)を含めると、49.8%をNPO 法人が占めています。)

2023年11月16日に開催しました、休眠預金活用事業シンポジウム2023・公募説明会の動画をご紹介します。

<プログラム>

1.JANPIAからの挨拶

 動画▶ https://youtu.be/DJOOG3n0nPg

  • JANPIA 理事長 二宮 雅也
  • 2.基調講演

     動画▶ https://youtu.be/fDmg2D9GTuw

  • 国際社会経済研究所(IISE)理事長/JANPIA 評議員 藤沢 久美氏
  • 3.トークセッション

    Part1 「地域支援と地域資源連携事業」を実施して(2019年度通常枠)

    動画▶ https://youtu.be/jZTzV1HSub8

    [資金分配団体]
    公益財団法人長野県みらい基金 理事長 高橋 潤氏
    [実行団体]
    特定非営利活動法人 いいだ人形劇センター 事務局長 木田 敬貴氏

    Part2 休眠預金活用事業を通じて生まれた個と組織の成長

    動画▶ https://youtu.be/g1PPZORu7CM

      認定特定非営利活動法人全国こども食堂支援センター・むすびえ
      理事  三島 理恵氏
     一般財団法人ちくご川コミュニティ財団
      理事/事業部長 庄田 清人氏

    モデレーター/コメンテーター:
    武蔵野大学人間科学部 社会福祉学科 助教 清水 潤子氏

    質疑応答

    動画▶ https://youtu.be/iQzH_0XX46Y

    4.休眠預金活用事業のこれから

    動画▶ https://youtu.be/h-zWvq7gnBs

  • JANPIA 事務局長 大川 昌晴
  • 5.公募説明会

     動画▶ https://youtu.be/G_8f0g9zE5I

    ※「第2回通常枠」「原油価格・物価高騰、子育て及び新型コロナ対応支援枠」

    〈関連記事リンク〉
     JANPIA主催 休眠預金活用事業・調査研究シンポジウムを開催!|JANPIA|活動スナップ | 休眠預金活用事業サイト (kyuminyokin.info)


    今回のJANPIAスナップは、10月6日にJANPIA主催で開催いたしました「ボランティア・プロボノマッチング会 第2回成果報告会」の様子をご紹介します!JANPIAでは、社会課題を解決する団体(NPO等)とCSRや社会貢献、ソーシャルインパクトを目指す企業との連携を推進しております。ボランティア・プロボノによる企業連携の事例をご報告いただきましたので、ぜひご覧ください。”

    活動概要

    JANPIAでは、休眠預金を活用して社会課題を解決する団体と企業との連携を推進しています。今回の成果報告会では、2023年3月7日に経団連後援のもと開催いたしました企業と団体との第2回マッチング会での連携事例のご紹介と、パネルディスカッションを実施いたしました。

    第1部の事例紹介では3つの事例について、支援企業、支援先団体、コーディネーターそれぞれのお立場からボランティア・プロボノマッチングに関するご報告をしていただきました。第2部のパネルディスカッションでは、ご登壇された企業の方々からボランティア・プロボノを企業内で導入するためのポイント等についてお話いただきました。

    本開催では、企業54社、団体・個人39名、合計137名の方にお申込みいただきました。
    ご参加・ご視聴いただいた皆さま、ありがとうございました。

    活動スナップ

    開会の挨拶

    開会の挨拶・本セミナーの趣旨説明

    JANPIAシニア・プロジェクト・コーディネーター

    鈴木 均

     動画〈YouTube〉|開会の挨拶・本セミナーの趣旨説明[外部リンク]

     資料〈PDF〉|開会の挨拶・本セミナーの趣旨説明 [外部リンク]

    経団連の挨拶

    経団連の挨拶

    一般社団法人 日本経済団体連合会 常務理事

    長谷川 知子 氏


     動画〈YouTube〉|経団連のご挨拶[外部リンク]

    事例紹介

    事例紹介|モデレーター

    株式会社NTTデータグループ サステナビリティ経営推進部 

    シニア・スペシャリスト

    金田 晃一 氏

     動画〈YouTube〉|事業紹介|導入(社員プロボノの類型整理)[外部リンク]

       資料〈PDF〉|社員プロボノの類型整理 [外部リンク]

    1. ブランディング強化に向けた広報戦略・方針の整理

    支援企業

    PwCあらた有限責任監査法人 企画管理本部 
    ディレクター 三橋 敏 氏(左上)

    資料〈PDF〉|広報支援プロジェクト|PwCあらた有限責任監査法人|プロボノ [外部リンク]

    支援企業

    富士通株式会社 総務本部 コミュニティ推進室
    井上 悠起氏(右上)

     資料〈PDF〉|広報支援プロジェクト|富士通株式会社|プロボノ [外部リンク]

    支援先団体

    NPO法人 新座子育てネットワーク
    事務局長 竹内 祐子氏(右下)

    資料〈PDF〉|広報支援プロジェクト|新座子育てネットワーク|プロボノ [外部リンク]

    コーディネーター

    認定特定非営利活動法人全国子ども食堂支援センター・むすびえ 理事
    三島 理恵 氏(左下)

    資料〈PDF〉|広報支援プロジェクト|全国子ども食堂支援センター・むすびえ|プロボノ [外部リンク]

     動画〈YouTube〉|1. ブランディング強化に向けた広報戦略・方針の整理[外部リンク]

    2.組織内にビジョンを浸透させるための方法・ステップ等の提案

    支援企業

    SMBC日興証券株式会社 ホールセール企画部 第一業務課
    山﨑 友里加 氏(左上)

    資料〈PDF〉|わたしと僕の夢のご支援内容について [外部リンク]

    支援先団体

    認定特定非営利活動法人わたしと僕の夢 
    代表理事  佐藤 有里子 氏(左下)

     資料〈PDF〉|プロボノ支援を受けた背景と影響・変化について [外部リンク]

    コーディネーター

    一般財団法人ちくご川コミュニティ財団 
    プログラム・オフィサー 庄田 清人 氏(右上)

    資料〈PDF〉|コーディネーターとしての関わり方 [外部リンク]

     動画〈YouTube〉|2.組織内にビジョンを浸透させるための方法・ステップ等の提案[外部リンク]

    3.スケジュール管理と情報共有の電子化

    支援企業

    NECソリューションイノベータ株式会社  デジタルビジネス推進本部
    DX推進グループ シニアマネージャ
    藤田 英利氏(右上)

     資料〈PDF〉|スケジュール管理と情報共有の電子化 [外部リンク]

    支援先団体

    特定非営利活動法人えんぱわめんと堺(左側)
    北野 真由美氏・堀口 博子氏・有田 雅恵氏・小池 賢美氏・塩崎 司氏(左下)

    資料〈PDF〉|はじめてのマッチング  [外部リンク]

    コーディネーター

    一般財団法人大阪府人権協会
    前村 静香氏(右下)

    資料〈PDF〉|資金分配団体としてプロボノに携わって  [外部リンク]

     動画〈YouTube〉|3.スケジュール管理と情報共有の電子化[外部リンク]

    パネルディスカッション

    「社員がプロボノやボランティアに参加していることは人事評価などに反映されているか。また、反映されている場合どのように評価に反映させているか。」と、会場からご質問をいただきました。

    【登壇者】

      辻    信行 氏 [PwCあらた パートナー](下段:左から3番目)

    呉藤 舞 氏[三井住友フィナンシャルグループ サステナビリティ企画部 社会貢献グループ 部長代理]下段:右から3番目)

    池田 俊一 氏[NEC 経営企画部門 コーポレートコミュニケーション部](オンライン参加)

    三橋 敏 氏[PwCあらた 企画管理本部 ディレクター](下段:左から2番目)

    山﨑 友里加 氏[SMBC日興証券 ホールセール企画部 第一業務課](下段:左から4番目)

    藤田 英利 氏[NECソリューションイノベータ デジタルビジネス推進本部 DX推進グループ シニアマネージャ]下段:右から2番目)


    【モデレーター】

    tab-stops:center 212.6pt>金田  晃一 氏[NTTデータグループ サステナビリティ経営推進部 シニア・スペシャリスト](下段:左から1番目)

    tab-stops:center 212.6pt>
    【コメンテーター】

    嵯峨 生馬 氏[認定特定非営利活動法人 サービスグラント 代表理事](下段:右から1番目)

    資料〈PDF〉|サービスグラントのご紹介 [外部リンク]
    資料〈PDF〉|継続的にsocial impactを生み出すために [外部リンク]
    資料〈PDF〉|SMBCグループプロボノワークプロジェクト   [外部リンク]
    資料〈PDF〉|NECプロボノイニシアティブのご紹介  [外部リンク]

     動画〈YouTube〉|パネルディスカッション プレゼンテーション[外部リンク]



     動画〈YouTube〉|パネルディスカッション[外部リンク]

    閉会の挨拶

    閉会の挨拶

    JANPIA 理事長 二宮雅也

     動画〈YouTube〉|閉会の挨拶[外部リンク]

    当日スナップ写真

    登壇者の皆さん

    司会者/配信スタッフの皆さん

    今回のセミナーは、ご登壇頂いた皆さまはもとより、司会者の南 恭子さん、配信スタッフのZAN FILMSの皆さん、会場となった日比谷国際ビル コンファレンス スクエアの皆さんとの連携で実現しました。この場を借りてお礼申し上げます。

    「経団連1%クラブ」は、経団連企業行動・SDGs委員会の下部組織として、企業による社会貢献活動の進展のために活動する、企業の知見の共有・共通課題の検討の場です。 2023年6月9日、この経団連1%クラブの会合にて、JANPIAが実施している企業連携についての報告を行いました。その概要を紹介いたします。

    JANPIAは、一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)により設立された背景から、「経団連1%クラブ」と連携し、様々な活動を行っています。2023年6月9日、この経団連1%クラブの会合にて、JANPIAが実施している企業連携についての報告を行いました。その概要を紹介いたします。

    まずJANPIAシニア・プロジェクト・コーディネーターの鈴木均から、企業連携の現状とアンケート調査の結果、そして企業連携の意義や可能性についてお話しました。

    [JANPIAからの報告]企業との連携強化に向けて ~SDGs達成への貢献につながるパートナーシップ(連携)~

    企業連携の現状

    鈴木:JANPIA設立以来、重要な課題の一つとして企業連携に取り組んできました。経団連との連携に基づいて、1%クラブでの事例紹介、企業と助成先団体とのマッチング会、個別フォローアップ、企業セミナーなど、多種多様な活動をしています。その結果、企業と資金分配団体・実行団体の連携実績は、累計325件(2023年3月末時点)になっています。
    また毎年、企業連携に関する休眠預金を活用する団体へのアンケート調査を行っていますが、2022年度に実施したアンケートの結果でも、資金分配団体、実行団体の多くが企業連携に強い関心を示しています。その中で連携したい企業像としては「協働で社会課題解決を目指す」が多くあがっており、さらに継続的な支援関係、資金的支援などへの期待もあります

    連携による企業にとってのメリットや価値

    休眠預金活用事業における連携は、企業側にも多様なメリット・価値を提供することをご紹介します。

    ●信頼性、信用性の高い団体へのアクセス

    休眠預金活用事業では団体の選定にあたって、ガバナンスとコンプライアンスを重視しており、事業を推進するなかでも、基盤強化支援もしっかり行っていますので、安心して連携していただけます。

    ●資金分配団体とJANPIAによる企業と実行団体間のコーディネーション支援

    連携の際にひとつのハードルとなるのがコーディネーションですが、現在は資金分配団体とJANPIAが仲介・調整を行っています。

    ●「社会的インパクト評価の知見獲得、インパクト志向の高い事業との接続」

    すべての団体が社会的インパクト評価を実施しており、この活動を通して社会的インパクト評価の知見などの収集獲得も可能になります。

    ●ボランティア・プロボノを通じた社員の社会参画

    社会貢献、人材育成の面、あるいはSDGsに貢献するような新しい事業の創出といった点からも非常にメリットがあります。

    ●社会価値と経済価値の両立を目指すSDGs起点の新しい事業機会の創出

    「企業の高い技術力(シーズ)、豊富なリソース、組織力」と「NPO・ソーシャルベンチャーの社会課題に関する専門性、機動力、現場力」が相乗効果となって、インパクトのある事業を創出する機会が生まれます。

    ●広報面への貢献、SDGs貢献の訴求など

    連携によって先進的な取り組みを創出することで広報効果も高まります。

    [企業連携 事例紹介1] 〈三井住友海上×アレッセ高岡〉

    三井住友海上火災保険株式会社

    【発表者 経営企画部 SX推進チーム 唐澤篤子様 山ノ川実夏様

    三井住友海上火災保険株式会社の社会貢献制度

    唐澤:三井住友海上火災保険株式会社では、社員の社会貢献活動を促進する制度として「部支店で年に1つは環境・貢献活動」というものがございます。全国に160部支店があり、ライン部支店長が推進責任者となり、部支店長が推進役として「環境・社会活動サポーター」を選任する流れになっています。
    JANPIAとの連携は3年目になり、ご提供いただいた休眠預金等活用事業を実施している団体のリストを社内に紹介しています。部支店から希望する活動、協働したい団体について連絡があると、まずJANPIAとつないで、資金分配団体、支援先団体となる実行団体、当社サポーターの4者でZoom面談を行い、マッチングすれば活動を開始しています。

    (唐澤篤子様)
    (唐澤篤子様)
    アレッセ高岡へのプロボノ活動

    山ノ川:特定非営利活動法人アレッセ高岡へのプロボノ活動について紹介します。まず資金分配団体である日本国際交流センターを交えてのミーティングを行い、アレッセ高岡の活動内容や、活動をしていくうえで困っていることなどを伺いました。アレッセ高岡は富山県で活動されていますので、富山支店の業務課長にも都合がつくときはオブザーブ参加してもらっていました。
    2021年7月から支援を開始して、隔週月曜の14時から30分間のオンラインミーティングを実施してきました。具体的な相談事例としては、文書の作成、経理、事務などのような内容があります。

    【文書】役員会議事録の書き方、著名人への支援依頼の手紙の添削、助成金申請書など、
    【経理】出納帳の構成、助成金の管理方法、領収証の書き方、預り金の扱いなど
    【事務】規定類のまとめ方、エクセルの操作方法、差込印刷の方法など
    【管理】人事労務管理など

    富山県と東京とで距離は離れていますが、オンラインで30分だけでも支援ができ、役に立つことができるのは発見でした。富山支店のメンバーに、現地での週末のイベントに顔を出してもらうなど、地元でのつながりもできています。
    今回は会社としてプロボノ活動の検討を行うために私と唐澤の二人が業務時間を使って担当しましたが、就業中のプロボノを制度化するのは難しく、かといって時間外・週末の活動に積極的な社員は多くない感触があります。そのため、プロボノに興味のある社員の発掘が今後の課題です。

    (山ノ川実夏様)
    (山ノ川実夏様)

    特定非営利活動法人 アレッセ高岡 

    【発表者】 理事長 青木由香様、事務局長 滝下典子様

    「団体内だけで問題を解決するのは困難だった」

    滝下:アレッセ高岡が活動する富山県高岡市は製造業がさかんで、1990年頃から日系ブラジル人の入植が増え、その方々の子どもたちが公立学校に入学するようになりました。理事長の青木はブラジルでの日本語教師の派遣を終え、高岡で外国人相談員として仕事をするなかで、日系ブラジル人の高校進学率が低いことに問題意識をもち、2010年に「高岡外国人の子どものことばと学力を考える会」(アレッセ高岡)の活動を始めました。現在は、学習支援事業、情報支援事業、市民性教育事業を行っております。
    多方面から活動への高い評価をいただいてはおりますが、理事はじめ事務局員は会社勤めの経験者も少なく、何を始めるにも右往左往しており、団体内だけで課題を解決するのは困難な状態でした。
    今回、三井住友海上火災保険の山ノ川さん、唐澤さんには、事務局員としての業務の基本を教えていただきました。
    また、「これは専門家に聞いたほうがいい」「これは団体内で決める内容である」など、日々の細々した問題に対して答えの導き方のヒントを教えてもらいました。初めて作成した銀行への助成金申請が通ったときは、とてもうれしく感じました。また、高岡にも足をお運びいただきました。

    (滝下典子様)
    (滝下典子様)
    地方都市では人的リソースが絶対的に不足

    青木:小さい地方都市では、人的リソースが絶対的に少ないのが現状です。課題を打破するために新しい事業を考えても、「じゃあ、それを担える人は?」となり、事業が止まってしまいがちです。おそらく、みなさまからしたら「そんなことで?」と思うようなところで、つまずいていました。
    私たちは普段、外国ルーツの子どもたちのサポートをしていますが、パラレルな形で私たち自身がサポートを必要としており、三井住友海上火災保険の山ノ川さんや唐澤さんが寄り添って日々の小さな障壁を一緒にクリアしてくれることで、立ち往生せず、挫けることなく事務局機能を実務的にも、精神的にも安定させることができています。

    (青木由香様)
    (青木由香様)
    企業との「協働」から得た支援者としての学び

    滝下:私たちは、これまでボランティアベースでやっていましたが、休眠預金等活用制度によって事業を進めるにあたり、事務局員を2名雇用しました。そのうちのひとりは外国ルーツの若者です。つまり事務局は外国ルーツの若者の成長と活躍の場でもあり、そういう意味では今回のプロボノ支援で私たちの事業をダイレクトに支えてもらいました。
    プロボノ支援を受けるなかで、支援者としての外国ルーツの子どもたちへの向き合い方も見直すことになりました。背景の異なる者同士の協働とはどういうものかを私たち自身が学んだということです。それは当初、私たちが想像していなかった成果でした。
    こうした支援のスパイラルが全国各地に広まってほしいと思います。コロナ禍を機にオンラインツールが普及しましたので、地理的距離にかかわらずリソースのマッチングも可能になりました。こうした輪がつながっていく先に、私たちが目指している多文化社会があるのではないかと思います。

    (外国ルーツの子どもたちに支援している様子)
    (外国ルーツの子どもたちに支援している様子)

    [企業連携 事例紹介2] 〈アビーム×リディラバ×SIIF〉

    アビームコンサルティング株式会社 

    【発表者】 エンタープライズドトランスフォーメーションビジネスユニット

         デジタルプロセス&イノベーショングループFMCセクター

         兼サステナビリティーユニット ダイレクター原田航平様

    専門スキルを生かしたプロボノ支援 

    原田:アビームコンサルティング株式会社にて、プロボノという形で支援した事例を紹介するにあたって、まず支援先であるRidiloverが取り組む「旅する学校」がどんな事業なのかを簡単に説明いたします。
    経済情勢や労働環境の悪化、教育・子ども支援における政策予算の少なさなどから、家庭の経済的状況による子どもたちの「体験格差」が存在しています。教育水準の違いだけでなく、新幹線に一度も乗ったことがない、旅行をしたことがないといった子どもたちもたくさんいます。こうした体験格差が義務教育後の望まないキャリア選択につながっている部分もあるのが現状です。これらに対して、「旅する学校」事業は、「誰もが希望をもって自分の生き方を選択できる社会」をつくり出すことを目指しています。
    事業の対象は2つあります。ひとつは「奨学金をもとにした『多様な体験から学ぶ』旅の提供」として多様な体験を格差のある子どもたちに直接提供して、学んでもらうもの。ふたつ目は、子どもの体験格差に関する調査研究・情報発信・政策提言があります。

    (原田航平様)
    (原田航平様)
    「旅する学校」における課題・支援ニーズ

    この事業を継続し、社会的インパクトを拡大するにあたっては、多様で安定的な財源が必要になります。また、社会課題自体の認知を拡大して社会課題解決を加速させていくために、個人へのアプローチも重要です。こうしたことから、「『企業人材の個人寄付』に関する調査・寄付獲得に向けた支援が欲しい」という支援ニーズが Ridiloverから挙げられていました。
    このニーズを踏まえて、昨年は2つのプロボノプロジェクトを実施しました。
    第一弾として「企業人材の個人寄付」に関する調査を行いました。調査のなかでZ世代やミドル世代など世代ごとの意識の違い、さらに細分化したターゲットによって「寄付についての自分ごと化」を進めるために最適な施策が異なることも見えてきました。
    このプロジェクトの期間は約2カ月間で、体制としては、弊社から私の稼働が15%(一日1時間程度)、シニアマネージャー1名が25%(一日2時間程度)、そして現場のコンサルタントを1名専任でアサインメントしました。さらに、第一弾の結果を踏まえて、第二弾の「企業人材の接点となる企業向け研修イベントの企画・トライアル実施」を行い、弊社メンバーに子どもの体験格差について学ぶ対面イベントに参加してもらい実証しました。

     (企業向け研修イベントの様子)
    (企業向け研修イベントの様子)
    プロボノ連携に取り組む意義

    会社としてプロボノ連携に取り組む意義ですが、大前提に「社会へのインパクト」があります。実行団体の社会課題への取り組みを支援することは、直接的に課題解決への貢献につながります。
    それに加えて、自社への好影響として以下があげられます。

    ・企業としての知見・視点の獲得
    ソーシャル領域における知見やリレーション、および将来の事業を考える視点の獲得という点で、有意義な活動ととらえています。
    ・従業員の能力開発
    支援先と協力しながら問題解決を行うことによって視野や動き方の幅が広がります。このプロジェクトに携わった社員は、本業でも成果を上げるようになりました。
    ・従業員エンゲージメント
    こうした活動を通して、本業の社会的意義や社会とのつながりをとらえるようになり、業務に対する主体性、責任感の向上につながっていると感じています。

    (原田航平様提供資料より)

    株式会社 Ridilover

    【発表者】 事業開発チームサブリーダー 高際俊介様

    事業と政策の「はざま」にある問題

    高際:Ridiloverは2009年に学生団体として立ち上がり、一般社団法人を経て、いまは主に株式会社として運営しています。特定の領域を設けずに社会課題に対して企業との事業開発あるいは省庁や自治体と連携しての政策・制度によって解決を進めるという、2つの側面でのアプローチをしています。
    今回取り組んでいる事業では、「体験格差」を解消して子どもたちが自分らしく生きていくのに必要な力を育むことを目指していますが、この問題が悩ましい部分は、個々の子どもにとって、どんな体験があればプラスに作用するのかがわかりづらいところだと考えました。
    また、行政からすれば、社会インパクトのロジックモデルが可視化できていないと制度設計が非常にしづらいということになります。加えて、体験格差が起こるのは経済困窮状態にある方々に多いため受益者負担も難しく、事業面でのアプローチにもハードルがあります。制度化も事業化も難しい、まさにはざまにある問題なのです。

    (「旅する学校」に参加している子どもたち(高際俊介様発表資料より))
    お互いの専門性を発揮することができた

    事業サイクルの持続可能性という観点からいうと、体験格差を問題視する人の総量を増やして個人寄付の導線をいかにつくっていくかが大事です。アビームのみなさまには、まさに事業の土台となる「企業人材の個人寄付」という部分に関してご協力をいただきました。
    企業に勤めている方々が、個人寄付に対してどういうインサイトをもち、どうアプローチすれば「自分ごと化」していくのかを調査するのは難易度が高いのではないかと思っておりましたが、アビームのみなさまの本業での分析力を生かしていただきました。同時に、まさに社員のみなさまがターゲット層でもあるということで、非常にありがたいパートナーだったと思っています。また、専門ではない部分をプロボノ支援に頼ることができたことで、我々は本来の専門性を発揮できる部分に注力できたことは、今回、非常に大きかった点です。

    一般財団法人社会変革推進財団(SIIF) 

    【発表者】 インパクト・オフィサー 田立紀子様

    田立:SIIFは、資金分配団体としてRidiloverさんと事業を実施しております。今回、私はアビームさんとRidiloverさんのコーディネーターとして伴走支援をさせていただきました。マッチングまでのヒアリングでは、双方の目的を揃えることが非常に重要です。私は地元では支援を受ける側として地域活動も行っておりますので、その経験も踏まえて、よりよいプロボノ実施のために支援企業側の窓口となるみなさまに知っていただきたいことを今回お伝えいたします。 

    1.    短期でできる仕事は「つまらないもの」に見えることが多い、それでよければ短期でも歓迎される

    企業サイドから見ると簡単でつまらないものに感じる業務でも、人もお金もない支援先団体にとって、それらを担ってもらえることは大歓迎です。また短期で現場を見たいという声も聞きますが、そのような場合は支援先団体の疲弊を招かないか注意が必要です。

    2.    大事なクライアントは支援先団体であることを忘れない

    支援企業のなかには社員が何人参加したか、社員の満足度はどうかばかりを気にされる場合もあるようです。プロボノを実施していく中で、支援先団体が置き去りにされていないか、KPIをぜひチェックしてみてください。 

    3.   窓口にコーディネーション機能を備えることが重要

    休眠預金活用事業では、資金分配団体が伴走しますが、プロボノを成功させるためには企業の窓口担当者が適切な座組をつくれるかが重要だと考えます。 

    4.    支援先団体も工数がかかるプロボノは、タダでも嫌がられることがある

    支援先団体も往々にしてリソースが潤沢ではないため、支援先団体側の体制に配慮することが大事です。支援企業からの支援を受けるためには、支援先団体側も準備をする必要があるからです。ゴールへの低いコミットメントや、団体の現状や意向に寄り添えない場合は、疲弊につながる可能性があります。

    (田立紀子様)